実行機能の時間的側面
実行機能の定義・考え方の1つに、時間的側面があります。
これは実行機能を「予測的制御」と「反応的制御」の2つの側面で考えるものです。
実行機能を時間的側面で見る場合、この予測的制御と反応的制御が必要な課題を行います。
一例としてはAX-CPT課題などがあります。
解説
実行機能の定義
実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」とされています。
つまり目的のために自分の考えや行動や気持ちをうまくコントロールできる力と言えます。
実行機能は単一の機能ではなくいくつかの下位概念によって構成されているという考えは主流ですが、その内訳には諸説あります。
その内の1つが実行機能を時間的な側面でとらえるという考え方です。
予測的制御
予測的制御(proactive control)とは文字通り事前に物事を予測し行動を制御できる機能です。
例えば車が少なく見通しがいい農道では、人は比較的のんびり車の運転ができるかもしれません。
一方で交通量が多く車の合流も多い国道では、少し緊張しながら車を運転するでしょう。
このように人の注意や意識は予測によってずいぶんと変わります。
認知的負荷がかかるイベントに対して、予測的制御をすることでその負荷を軽減します。
反応的制御
反応的制御(reactive control)は予測的制御と対照的に、その場・その瞬間での反応を行います。
事前に気をつけながら合流の車に対してこちらも車線を変えることが予測的制御であるならば、
急に割り込んできた車を突発的に避けるのは反応的制御と言えます。
このように人の目的的な行動を時間軸で見ると、事前に予想し認知的負荷がかかるポイントを取捨選択する予測的制御、それで対処しきれない突発的な物事に反応する反応的制御の2つの要素があることが考えられます。
AX-CPT課題とは?
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索