「子供の教育には勉強以外にも大切なことがある」というのは多くの人が感じていることですが、じゃあ具体的にどんな能力かというと科学的な根拠を持って言える人は多くはありません。
今日は子供の教育において大切な力である実行機能や自制心についてです。
人生に必要な力
能力が高くても、計画の立て方が間違っていたら目標は達成できません。
知的能力が高くても、チャレンジ精神がなければ結果にはなかなか結びつかないものです。
人生には知的機能だけでは説明できない能力が必要になります。
人生に必要な能力のひとつに、実行機能があります。
実行機能とは?
実行機能とは目標を達成するために計画・予測し、衝動を抑制し困難でもやり遂げ、思考を練り上げる能力です。
つまり実行機能には
・物事を適切に予測する力
・結果を出すためのプロセスを計画できる力
・誘惑に惑わされない、衝動を抑える力
・困難でもやり遂げる力
・学んだことを参考に創意工夫できる力
がポイントになってきます。
こう聞くと実行機能はビジネスシーンで使うような大人の力に聞こえますね。
しかし実行機能は実際のところ人生全般にわたって必要ですし、実行機能は幼児期から発達し始めます。
実行機能に長けると成績が3倍?
ペンシルヴァニア州立大学のクランンシー・ブレア氏の研究によると、
IQが同じくらい高くても、実行機能が高い子供はそうでない子供よりも算数の成績が300%良い傾向にあったそうです。
このように、同じ知的能力であっても実行機能や自制心に長けているか否かは物事の結果に大きく影響することがわかっています。
自己調整学習
実行機能や自制心も、生まれ持った素質だけでなく後天的に鍛えることで伸びる能力であるというのが最近の専門家の共通した意見です。
そして実行機能や自制心が人生に与える影響は大きい。
何かを計画し実行する力や、自制心をもって衝動をコントロールするための方法や大切さを教えることは有意義なわけです。
近年、教育においてこの「自己調整学習」の必要性と有用性が注目されています。
自己調整学習を促す方法
自己調整学習を促すには、「大人が計画したことを子供にさせる」だけではダメです。
大人がヒントは出しつつも、子供が自ら計画し予定を把握しそれに沿って活動していくことが有効です。
もしも集中力が逸れそうになったら、スケジュールを再度見るという途中経過(進捗状況)の確認習慣をつけることも重要です。
そうやって主体的に物事に取り組む習慣を作ることを大人がアシストしていきます。
まとめ
人生には知的機能だけでなく様々な能力が大切です。
そのうちの1つに実行機能があります。
実行機能は目標を達成するために計画をしたり自制心を持ったりする力です。
実行機能は幼児期から発達し始めます。実行機能は不変の才能ではなく、訓練することである程度伸びます。
実行機能の高さは学業成績や人生に影響を与えます。
故に自分をコントロールし自分の能力を発揮するための「自己調整学習」は教育において大変重要です。
実行機能、自制心を促すには子供自らが主体的に計画し物事に取り組むことが大切です。
その過程の中で、なぜ上手くいったのか、今どのくらい計画が進んでいるのかといった状況確認の作業も挟むことがより効果的です。
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参考文献
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年