叙述の指さしについて
叙述の指差しとは?
叙述の指さしとは、他者の注意をひいたり共感したいために行われる指さしのことです。
具体的には、例えば子供がお母さんと散歩をしていて、道中で犬に出会ったとします。
このときに指をさして「あ、ワンワンだよ!」と親に教えたいような意図があればそれが叙述の指差しであると言えます。
「叙述の指さし」は他者を意識した指差しなので、「そうだね、犬だね~」といった反応があるまで指さしをし続けるという点は1つの特徴です。
叙述の指さしは生後11か月前後あるいは1歳前後くらいから始まるとされています。
叙述の指差しはさらに細かく見ると、2つの段階があります。
叙述の指差しの発達過程
命名の段階
命名の段階は、自分の驚きや再認を他者と共感する内容です。
冒頭で挙げたような「ワンワンだよ~」(言葉は言わなくても)という意図で指さす行為は、自分の驚きや再認を共感したい表れととらえることができます。
関連付けの指差し行動
「関連付けの指差し行動」は「同一性の指差し行動」とも言われます。
自分の発見を他者と共感したいという点は命名の段階と同様です。
関連付けの指差し行動は、指をさす対象に子供が関連性を見出しています。
「これとこれと一緒だ~」といった意図の指差しです。
例えばお店でバニラ味のアイスを指差した後、同じ製品で味が違うイチゴ味のアイスをさすなどです。
あるいは家で湯呑を指した後に急須を指差すといった行為も関連付けの指差し行動です。
どちらも対象が関連していることを本人が気づけています。
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『1歳6か月児の健康診査』(奈良県)2021年9月25日検索