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言葉の発達から見る助数詞
「助数詞(じょすうし)」とは1個・1匹など、数字の後ろに付いてその性質を表す単位のことです。
言語発達の観点から見ると、助数詞はカテゴリーを表す語彙などと比べると獲得がゆっくりであることが特徴的です。
つまり「動物」や「食べ物」といった基礎的なカテゴリーを表す言葉と比べると、助数詞は獲得しにくい(難しい)言葉と言えます。
助数詞の性質や、子供が助数詞を理解・獲得する過程について見ていきます。
解説
助数詞とカテゴリー名
助数詞はカテゴリー名と同様に、対象を分類する言葉であると言えます。
「動物」「食べ物」といったカテゴリーを表す言葉は、世に存在する様々なものを分類し、関係性を理解することに役立ちます。
これと同様に、助数詞も対象を分類する性質があります。
「動物」には「匹」を使いますが、「食べ物」に「匹」は使わないでしょう。
このように、助数詞とカテゴリーは密接に関わります。
しかしながら、(基本的な)カテゴリーを表す言葉と比べると、助数詞は難しい言葉であると考えられています。
助数詞の難しさ
助数詞の難しさの背景には、その曖昧さ・複雑さがあります。
例えば動物に用いる場合でも助数詞は「匹」「頭」など複数あります。
機械の場合でも「機」「台」など複数あり、しかもその基準が一見すると曖昧です。
このように助数詞の使い分けはカテゴリー自体を表す語彙と比べると曖昧でわかりにくい面があります。
また、助数詞が(他の言葉と比べると)コミュニケーションにおいてそこまで重要な役割を担っていないという点も学習に影響していると考えられます。
助数詞の規則性
しかしながら、助数詞にも一定の規則性はあります。
助数詞の使い分けに関する手掛かりの1つとして、動物・非動物の分類が考えられます。
例えば「匹」という助数詞は「犬」にも「猫」にも使います。
「本」という助数詞は「鉛筆」にも「ストロー」にも使います。
しかしながら、「匹」という助数詞を「鉛筆」に、「本」という助数詞を「犬」に使うことはないでしょう。
規則性に曖昧さも否めない助数詞ですが、動物・非動物をまたいで使う助数詞は(稀な例外を除き)原則としてなく、これが助数詞の秩序と言えます。
そしてこの「助数詞は動物・非動物をまたいで使用することはない」という秩序が、子供が助数詞を獲得する上での糸口になると考えられます。
子供の発達と助数詞
助数詞の理解の傾向
子供が覚えやすい助数詞は何か?
助数詞の獲得する順番は?
助数詞を使うのは何歳から?
2歳児の助数詞の理解
5歳児の助数詞の理解
助数詞の評価と指導
助数詞の評価方法
助数詞の評価と分析
助数詞の指導方法
参考資料
佐藤賢輔、針生悦子(2006)『幼児における助数詞の理解 : 存在論的カテゴリーに注目して』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月28日閲覧