聴力検査の仕方についてです。
【目次】 [close]
純音聴力検査とは?
聴力検査にはいろいろな種類があります。
その中で最もポピュラーなものが、
純音聴力検査なのではないでしょうか。
純音聴力検査とは、ヘッドフォンをつけてもらって音が鳴ったときにボタンを押してもらう、あの検査です。
聴力検査のやり方として信憑性のあるものの1つが、日本聴覚医学会が定める「日本聴覚医学会聴覚検査法 1.オージオメータによる純音聴力(閾値)レベル測定法(2008)」です。
上記を参考に、純音聴力検査の手技をまとめます。
純音聴力検査の実施方法
①被験者への説明とその内容
純音聴力検査は音が聞こえたときにボタンを押してもらう方式です。
そのため検査に対する被験者の理解と協力が非常に重要になってきます。
具体的には、以下のようなことを事前に被験者へ説明します。
- 音が聞こえている間、ボタンを押し続ける
- 音が聞こえなくなったらボタンを押さない
- 上記の反応はできるだけ速やかに行う
- 音が非常に小さくても、聞こえるならボタンを押す
- どちらの耳から検査するか
- 音の周波数が適宜変わること
- 検査の途中であっても、体調不良などあれば検査を被験者の意向で中断できること
②検査の原則
検査音の呈示は同一レベルにおいて1~2秒程度です。
休止時間より呈示時間のほうが長くならないように注意します。
原則として、自覚的に良く聞こえる耳のほうから始めます。
周波数の順序は原則として、
1000Hzをまず行い、
次に2000、4000、8000と高くしていきます。
その後、再び1000Hzを行い、
500、250、125と下げていきます。
750、1500、3000、6000Hzは必要に応じて適宜実施します。
③予備測定
先述の通り、純音聴力検査は被験者の理解と協力が非常に重要です。
そのため予備測定にて検査の理解を促します。
①良聴耳に1000Hz、40dBの音を提示します。
聞こえているようなら、10~20dBずつ下げて聞こえなくなるレベルを見つけます。
聞こえていないなら、一旦10~20dBずつ音を上げて聞こえる音を探してから、そこから10~20dB下げて聞こえなくなる音を探します。
②聞こえなくなる音が見つかったら、5dBずつ上げて聞こえるレベルを見つけます。
③ちょうどよいレベルが見つかったら、1~2回再提示して反応がきちんと合っているか確認。
④本測定
予備測定で得られた音から開始します。
1000Hzからスタート。
聞こえなくなるまで10~20dB下げ、そこから5dBずつ上げて聞こえる音を探します。
次に確認作業です。
先ほどの最小レベルよりあえて5~10dB上げた音を聞かせ、先ほど応答が得られたレベルより10~20dB低いところから再び5dBずつ上げて最小レベルを求めます。
上記の手順を3回繰り返して2回以上同一レベルが得られたら、その値をその周波数における聴力レベルとします。
3回の測定で15dB以上差があると、検査の理解が怪しいので予備測定を再度行ったり説明したりします。
以上の手順を各周波数にて行います。
2回目の1000Hzは、1回目で得られたレベルの15dB下から始めます。
1回目と2回目で10dB以上の差があるなら、上の周波数についても差が5dBになるまで行います。
以上のように、2回繰り返した周波数については低い方を採用します。
これらの手順を反対側の耳でも施行します。
⑤マスキングの有無
純音聴力検査に関しては、場合によってはマスキングが必要になる場合があります。
マスキングとは測定していないほうの耳に音を流すことです。
マスキングの有無は以下のような手順で判断できます。
マスキングなしで測定された聴力レベルより5dB上げた音と、反対の耳に過度にならない程度で実効レベル10dB以上でマスキングをかけます。
ノイズがあっても検査音が聞こえるならOK。
マスキングの必要はありません。
まとめ
今回は聴力検査において最もポピュラーな純音聴力検査の気導音の測定(マスキングなし)をざっくりと書きました。
さらに要約すると以下のようになります。
- 検査説明をまずしっかりする。
- 音が鳴っている間だけボタンを押してもらう。
- 右、左は、聞こえが良いほうから始める。
- 1000Hzから始める。
- 次は、高い周波数をする。
- 再度1000Hzをする。
- 高いほうが終わったら、低い周波数をする。
- 10~20dBずつ下げて聞こえなくなる音を見つける。
- そこから5dBずつ上げて聞こえる音を見つける。
- 3回繰り返して、その周波数の聴力レベルを求める。
参考資料
『「日本聴覚医学会聴覚検査法」の制定について』(J-STAGE)2018年9月1日検索