カ行の構音訓練期間
「かみ(紙)」が「たみ」になるなど、カ行の音をうまく発音できないケースは子供の発音相談で比較的よくあります。
こういったカ行の発音練習(構音訓練)は、どのくらいの練習期間を要するのでしょうか。
どのくらい練習すればカ行が言えるようになるのでしょうか。
あくまで目安ですが、カ行の音の練習期間は短くて半年弱、実際は1年ほどかかるケースが考えられます。
解説
カ行の構音訓練プログラム
子供の発音練習のことを医学的・専門的に「構音訓練」と言います。
構音訓練に関しての書籍として有名なものに「構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-」があります。
これにはカ行の構音訓練を具体的な15のステップで解説しており、1つのステップを約50分×2回の内容で想定しています。
そして練習頻度は週に2~3回となっています。
つまり1回あたり約1時間の学習を週に2回ほど行いスムーズに上達すれば、約4か月でカ行の音をマスターできると考えられます。
カ行の構音訓練の実際
上記のようにマニュアル通りにスムーズに進めば4か月ほどでカ行の構音訓練は終了できる可能性があります。
しかし実際は1年ほど期間を要する場合も少なくなく、むしろ「1年で構音が改善すればスムーズであったほう」かもしれません。
この理由は2つあります。
1つは、必ずしも子供が集中できるとは限らないということです。
上記の練習期間は、子供が各ステップの学習を集中して意欲的に行えることが前提となっています。
特に発達障害が合併し、学習が困難な子の場合は各ステップの学習を複数回繰り返す必要があり、時間を要するかもしれません。
2つ目の理由は、週2回約1時間の練習に時間を割くことができるのかという点です。
これらの構音訓練は言語聴覚士などの専門家が専門的な知識の下で行うことを前提としています。
やり方を教えてもらえば家庭でできないこともないですが、それでも子供の上達に合わせてステップを進める「子供の状況を見極める力」が必要になります。
共働きの世帯が多い昨今、専門機関に行くにせよ家庭で行うにせよ、週に2回1時間の時間を親子で割くことは簡単なことではないでしょう。
こうなると必然として週に1回の練習になってしまう場合もあります。
以上のような理由から、実際の構音訓練はスムーズでも1年くらいを想定しておいたほうが無難かもしれません。
構音障害の解説
構音障害とは?
構音発達の目安
参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年