片親の子供への影響
基本的には片親よりも両親がそろっていたほうが、子育てに関するメリットは大きいです。
しかし結婚生活に何らかの問題がある場合(例えば虐待など)、むしろ片親になったほうが子供への悪影響を避けることができるかもしれません。
母子家庭(父子家庭)であろうがなかろうが、子供が精神的に安定して暮らすことができる愛情のある環境を作ることが大切と言えます。
解説
ひとり親世帯の子育ての難しさ
状況は人によって様々でしょうが、一般的にひとり親家庭はそうでない場合と比べ、子育てに割ける時間が少なかったり収入面の不安定さが挙げられます。
社会学者のサク・マクラナハンは、ひとり親家庭は子供への投資にあまり熱心になれない可能性や、母乳育児や語りかけによる刺激が少ない可能性を指摘しています。
またアメリカの場合ですが、ひとり親家庭では鬱病や妊婦の薬物使用や喫煙が多い傾向にあるようです。
むしろ両親がいるほうがマイナスになるケース
ひとり親家庭よりも両親がそろっている家庭環境の方が、子育てにはメリットが多いという意見は多いです。
しかしながら、状況によっては親がそろっている方がかえって子供に悪影響を与えるケースもあります。
それは一方の親に反社会的な行動があったり、結婚生活がすでに破綻している場合などです。このような場合は子供の情緒が安定しにくく、むしろ両親がそろった家庭が子供にとってマイナスにはたらく可能性があります。
例えば親が子供に虐待をしているような場合であれば、離婚して子供を安心・安全な環境で生活させた方がいいと言えます。
あるいは夫婦仲が良くなく、毎日激しい口論がされるような家庭では子供の情緒の安定を得ることは難しいかもしれません。
子供の精神状態にとってより安定した家庭環境を作ることができるのであれば、(そして結婚生活に問題があるのであれば)ひとり親家庭での子育てもメリットはあるかもしれません。
参考資料
ジェームズ・J・ヘックマン(著)、古草 秀子(翻訳)『幼児教育の経済学』東洋経済新報社、2015年