心理学

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貧しい人のほうが合理的に買い物をする?|行動経済学

公開日:2023年2月1日


 
 

貧しい人のほうが合理的に買い物をする?

 同じ物であっても、それがどこで売っているかで値段のイメージが変わります。
 そして所得が多い人ほどその傾向は強いようです。

 例えばコンビニの商品は同じ物でも(スーパーやドラッグストアと比べると)割高であることが多いです。
 節約やお金の使い道に敏感な人ほど、コンビニでの買い物は気をつける傾向があるでしょう。

 
 
 

研究

意思決定バイアスの実験

暑い日、ビーチで寝こんでいるところを想像してください。飲み物は氷水だけ。あなたはこの一時間、キンキンに冷えたお気に入りブランドのビールがあったらどんなにうれしいか考えています。友人が電話をかけるために立ち上がり、近くでビールを売っている唯一の場所である小さなさびれた食料品店で、ビールを手に入れてくると提案します。友人は「ビールの値段は高いかもしれない。いくら払う気がある?きみの指定する値段以下だったら買うよ」と言います。あなたは友人を信用していて、バーテンダーとの値段交渉の可能性はありません。あなたはいくらまでと彼に言いますか?

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学より引用

暑い日、ビーチで寝こんでいるところを想像してください。飲み物は氷水だけ。あなたはこの一時間、キンキンに冷えたお気に入りブランドのビールがあったらどんなにうれしいか考えています。友人が電話をかけるために立ち上がり、近くでビールを売っている唯一の場所である高級リゾートホテルで、ビールを手に入れてくると提案します。友人は「ビールの値段は高いかもしれない。いくら払う気がある?きみの指定する値段以下だったら買うよ」と言います。あなたは友人を信用していて、バーテンダーとの値段交渉の可能性はありません。あなたはいくらまでと彼に言いますか?

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学より引用

 経済学者のリチャード・セイラー氏の研究を基に、行動経済学者のセンディム・ムッライナタン氏らは上記のような文章を被験者に提示しました。

 被験者にはランダムでどちらかの文章を読んでもらいます。

 2つの文章は太字の部分以外まったく一緒です。

 にもかかわらず、後者のほうが値段を高く言う人が多いようです。

 つまり同じビールであっても売っている場所が高級なイメージだと、値段の許容範囲も高くなりがちであるということです。

 
 

所得の違いで

 上記の傾向は所得が多い人ほど顕著なようです。

 つまり貧しい人は財布の紐が固いので「ビールはビール」と割り切り、購入場所がどこであっても「払っていいと思える値段」は変わりません。
 一方、所得に余裕がある層は、購入場所によって「払っていいと思える値段」が浮動的な傾向にあります。

 人の置かれている状況が、合理的な判断力に影響を及ぼす例と1つと言えるでしょう。

 
 
 

参考資料

-心理学
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