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数の保存の発達段階
物は並びや入れ物を変えても個数自体は変わりません。
これは数の保存の概念と呼ばれます。
数の保存の概念は子供が発達する中で獲得されていきますが、過程としては以下のような段階を踏んでいきます。
- 対応づけができない段階
- 非保存判断をする段階
- 移行期の段階
- 数の保存が獲得された段階
解説
対応づけができない段階
見本のおなじきと同じようにおはじきを並べる、1対1対応ができない段階です。
例えば見本よりも間隔を詰めて並べたため、総数が多くなったおはじきに対して同じ個数であると判断してしまいます。
このように、配置が異なる同数のおはじきについて個数が異なると思ってしまう「非保存判断」が見られます。
傾向として、非保存判断においては不均一に並べられたおはじきのほうが多いと答えるケースが多いです。
非保存判断をする段階
対応づけは可能ですが、1対1対応が崩れると非保存判断をしてしまう段階です。
つまり、以下のようにおはじきが1対1対応で並んでいれば白と黒のおはじきが同数であることがわかります。
〇 〇 〇 〇 〇
● ● ● ● ●
一方で、以下のように1対1対応の並びが崩れると、非保存判断をしてしまう、つまり白と黒のおはじきの数が異なると感じてしまいます。
〇 〇 〇 〇 〇
● ● ● ●●
移行期の段階
おはじきの並びによって保存判断と非保存判断が揺れ動く段階です。
この時期はおはじきの並び方によっては1対1対応でなくても白と黒のおはじきが同数であることに気づくことができます。
しかしながらその理解度はまだ不安定であり、並びを変えたり指導者が聞き直したり(反対示唆)すると簡単に判断を変えてしまったりします。
数の保存が獲得された段階
数の保存の概念が獲得され、1対1対応でない場合でも保存判断を安定して行える段階です。
「数の保存」の解説
参考資料
伊藤朋子、椎名乾平(2013)『デザインと心理学の架け橋』(心理学評論刊行会)2024年10月26日閲覧