計数の5原理とは?
「計数の5原理」とは、数を数える力に必要と考えられている5つの原理です。
アメリカの心理学者ゲルマンとガリステルによって提唱されました。
その5原理とは以下のようになります。
- 1対1対応の原理
- 安定順序の原理
- 基数の原理
- 抽象の原理
- 順序無関係の原理
以下でそれぞれ見ていきます。
解説
1対1対応の原理
「1対1対応の原理」は物と数詞が1つずつ対応しているという概念です。
●●●は「1,2,3」と数えるように、物と数詞が1対1対応することで人は物を数えることができます。
これが「1・2,3,4」と1つの物に2つの数詞を言ってしまっては数が合いません。
安定順序の原理
「安定順序の原理」の原理は、「イチ」の次は「ニ」であるという順番が決まっているという概念です。
あるときは「イチ、サン」と言い、またあるときは「ヨン、ニ」と言うなど順番が毎回バラバラでは数を数えることはできません。
基数の原理
「基数の原理」とは最後に言った数詞がその全体の数を表すという概念です。
数を数えて、「イチ、ニ、サン」と言えばその数は「3」であり、「イチ、ニ、サン、ヨン、ゴ」と言えばその数は「5」です。
終わりの数が全体の総数であるとわかることは、数を数える上で非常に重要な感覚です。
抽象の原理
「抽象の原理」とは、数える物の性質に関係なく1つは1つとして数えることができるということです。
リンゴは1個、スイカは1個。
リンゴよりスイカは大きいから、スイカ1つは2個であるというわけではありません。
また、水は形がないから数えられないというわけではなく、「1リットル」など特定の条件によって数えることができます。
順序無関係の原理
「順序無関係の原理」とは、どこから数えても正しく数えれば同じであるという概念です。
「● ● ● ● ●」という数を、
「● ● ● ● ●」
1 2 3 4 5 と数えても、
「● ● ● ● ●」
4 5 1 2 3 と数えても、答えは一緒です。
もちろん左から順に数えたほうがわかりやすくはありますが、右から数えようが中央から数えようが答えは一定であるということです。
参考資料
『小学1年生における計算学習の現状と課題 : 1年生の算数指導に関わった経験のある教員への質問紙調査と1年生への調査を通して』(植草学園短期大学)2022年6月3日検索
『数表記・数詞・具体物の三項関係に関する論考』(京都女子大学)2022年06月03日検索
『小学校学習指導要領解説算数編(後半)第3章 各学年の内容』(文部科学省)2022年06月11日検索
『インタラクションを通した数の概念の獲得』(人工知能学会全国大会論文集)2022年06月11日検索