人間関係というのは複雑なものです。
人とのコミュニケーションは実際の人とのやりとりの中で学ぶのが一番ですが、
その一方で、
ドラマや漫画でコミュニケーションスキルを学ぶことも1つの方法ではあります。
なぜならドラマや漫画は実生活よりもわかりやすいからです。
普段は目に見えない・連想しにくい人の心情や場の空気を、ドラマや漫画はわかりやすく文字やシーンになっています。
1. 「結婚できない男」とは?
「結婚できない男」とは2006年に放送された阿部寛さん主演の連続ドラマです。
阿部寛さんが演じる桑野信介は、建築家としての地位を持ちながらその独特の性格から人とコミュニケーションが苦手な人物。
彼と女医である早坂夏美(夏川結衣)との関係を中心に描かれています。
ずいぶん前のドラマですが、脚本のクオリティーの高さと俳優陣の演技力の高さで今なお名作と言われている人気ドラマです。
「結婚できない男」はエンターテイメントとしても非常におもしろい作品ですが、
主人公である桑野信介の空気の読めなさ・コミュニケーションの苦手さが非常に絶妙です。
空気の読めなさをドラマや漫画で描く場合、強調しすぎて現実とかけ離れたり整合性がなかったりすることも多いのですが、
「結婚できない男」はそのさじ加減が非常に絶妙で、空気を読めない人やコミュニケーションが苦手な人には何かしら思い当たる節がある内容になっています。
2. 「結婚できない男」第1話「一人が好きで悪いか!!」
「結婚できない男」は第1話目の冒頭からすでに桑野信介の空気の読めなさが全開です。
建築士である桑野信介は仕事関係のパーティーに顔を出すのですが、そこでの女性との会話がうまくいかない。
初対面なのにわかりにくい冗談を言ったり、自分の興味のあることを一方的に話したり。
相手との関係性を考えずに伝わりにくい冗談を言ったり、
自分の興味のある知識(相手は興味がない)を一方的に話したり、
そういった傾向は空気を読むのが苦手な人によくあることです。
そして決定打として、
パーティーで女性が「スパゲッティー」を勧めるシーンがあるのですが、桑野信介は「スパゲッティーニ」という名称が正確であることをわざわざ指摘して気まずくなってしまいます。
この自分が今言ったことで空気が悪くなったことに桑野信介は気付いて「しまった」という表情をするのですね。
この自分が空気を読めない言動をすることと、そうはいっても度が過ぎると気づいてしまうさじ加減がドラマでありながら非常にリアルです。
空気を読めない人に対して、空気を読める人は「この人はまったく空気が読めない」と思いがちです。
でも実際は違っていて、
「空気を読めない人」ってところどころ中途半端に空気が読めるんですよね。
その中途半端さが余計周りを振り回したり困惑させたりするのです。
3. 桑野信介の自宅
桑野信介は自分のライフスタイルに非常にこだわりを持っています。
自宅のインテリアや食生活からもその様子がうかがえますね。
自分の好きなことや興味のあることに熱中したり、こだわりをもって労力を惜しまない姿勢は大切なことです。
しかし、こだわりが強すぎると時としてそれが「融通のきかなさ」になると話は別です。
「融通のきかなさ」は時として人とのコミュニケーションに不具合を起こすことがあります。
後の話数で明らかになりますが、桑野信介は自宅に他人を入れることに抵抗があり、そのことからも彼の「こだわり」が見えます。
4. おわりに
「結婚できない男」は主人公の桑野信介の他人関係の下手さが非常に絶妙です。
自分の気持ちをうまく伝えることができなかったり、
他者がどういうことを冗談と捉えてどういうことに傷つくのかがピンときていなかったり。
空気を読めない人やコミュニケーションが苦手な人には何かしら思い当たる節がある内容になっています。