構音とは医学的な用語です。発音とほぼ同じ意味と捉えてもらえばいいでしょう。
構音が障害されている。
つまり発音がうまくできない状態を構音障害と言います。
発音がなぜできないのでしょう?
理由はいろいろ考えられます。
補足記事:構音障害とは?
【機能性構音障害とは?】
機能性構音障害は、身体的に特に障害されている部分はないのに発音が上手くできない状態です。
口の形や舌の筋肉、声帯のつくりなど発音するための器官に異常がなく、
口を動かすための脳神経も正常。
けれど発音がうまくできない。
おおざっぱにとらえると、
「機能性構音障害は、発音が下手、あるいは発音の仕方に正しくない癖がついている状態」
と考えていいでしょう。
口や舌や喉などの発声に関わる部分を発声発語器官と言います。
機能性構音障害は発声に関わる脳神経と発声発語器官に障害がないことが前提です。
つまりこれといって原因はないのに発音が正しくできていないというわけです。
【ただし、注意点が】
機能性構音障害は直接的な原因がないことが特徴です。
しかし間接的な原因がある場合もあります。
例えば知的障害。
知的障害により体の動かし方が不器用だと、口の動きも不器用な場合があります。
この場合は発音がうまくできないことがあります。
他の間接的原因に聴覚障害(難聴)があります。
人は自分や他人の声を聞いて発音を学びます。
聴力が障害されているとその学習過程に影響が出ます。
結果、発音に異常が出ることがあります。
補足記事:発音と聴力の関連性
ただし、誤解してはいけないのが機能性構音障害の方が必ず知的障害や難聴かと言えばそうではないということです。
【楽観的な見方】
機能性構音障害は適切な練習を行うことで個人差はあれど改善はします。
機能性構音障害は身体的病変は特にありません。
ある意味、発音の個人的な癖なのです。
機能性構音障害を「障害」と捉えるかは議論が今も続いています。
例えば日本人は英語の「L」と「R」の発音の区別がつきません。
外国人から見れば日本人も英語における機能性構音障害と言えなくもないのです。
芸能人で滑舌が個性的な方がいますね。
あの人達も専門家が見れば機能性構音障害と言えるでしょう。
発音が不器用なだけ。個性的な滑舌。個性。
そのように捉えれば機能性構音障害に気にする必要はないのかもしれません。
【慎重な見方(1)】
機能性構音障害について楽観的な見方をしてみました。
今度は慎重な見方をしてみたいと思います。
機能性構音障害は練習により改善があると書きました。
これは裏を返せば、
機能性構音障害は自然に治ることはないということです。
年齢が小さいお子さんなら、ある程度成長の中で改善する部分もあるでしょう。
しかし基本は、機能性構音障害は放っておけば一生そのままです。
人は習慣の生き物です。癖は長くなるほどとれにくいものです。
機能性構音障害も年齢を重ねれば重ねるほど改善はしにくくなります。
補足記事:子供の発音は何歳で完成するのか?
【慎重な見方(2)】
先ほど、機能性構音障害には知的障害や難聴が背景にある場合があると書きました。
機能性構音障害に伴い発音を練習することで、その子に知的障害や難聴があることに気づく場合があります。
結果、学習面をサポートしたり補聴環境を整えたりするきっかけになることがあります。
【慎重な見方(3)】
たかが発音、されど発音。
クラスで一人だけ滑舌が悪かったら、子供によってはコンプレックスになる場合もあります。
からかわれたくない。だからしゃべりたくない。言いたいことが言えない。
人と話したくない。発表したくない。
人と話す仕事には将来就きたくない etc
機能性構音障害により2次障害が引き起こされる可能性があります。
2次障害とはある障害がきっかけで、直接的には関係のない側面で身体的・精神的なトラブルが出ることです。
発音が不器用なのか人並みなのか。
ある人にとってはそれは大したことではないかもしれません。
しかしまた別の人にとっては人生を左右する要因になるかもしれないのです。
【機能性構音障害を治すなら】
機能性構音障害は医師の診断を受ければ健康保険が使えます。
治療内容としては、専門スタッフによるリハビリという形で発音練習をすることになるでしょう。
その場合は言語聴覚士の人と練習をすることが多いと思います。
補足記事:言語聴覚士とは?
発音が気になる、あるいは自分の子供の発音が気になる場合は、最寄りの医療機関を受けてみるといいでしょう。