簡単で短い言葉ほど吃音は軽減する
文章が長く複雑であるほど、吃音の頻度は増加する傾向にあります。
逆に言うと、はじめは簡単で短い文、徐々に長く複雑な文へと移行していくと、同じ言葉・表現でも流暢に言える可能性があります。
このような吃音のアプローチを「GILCU」と言います。
解説
GILCUとは?
GILCUとは、「Gradual Increase in Length and Complexity of Utterance」の頭文字を取ったものです。
直訳すると「発話の長さと複雑さを段階的に増加させる」といった意味になり、言葉通りの手技です。
言語負荷の小さい短く簡単な表現から始め、徐々に慣れていきます。
GILCUの具体的な方法
一般的に言語負荷は
- 単語
- 単語の組み合わせや定型的な表現
- 1文
- 2~4文
- 会話
のように高くなっていきます。
これを踏まえGILCUでは
- 1語で答える
- 2語で答える
- 3~6語で答える
- 1~4文で答える
- 30秒から5分程度の朗読
- 独り言や会話
などのように段階を踏んでいきます。
GILCUのポイント
吃音を完全に治すことは難しいですが、短く簡単な表現であれば吃音は軽減傾向にあるということを知っておくことは有意義です。
これはつまり自由な文章での会話が一番難しいということでもあります。
「今日は学校どうだった?」より「今日は給食なんだった?」など内容をしぼる方が答えることが簡単だということです。
吃音のある人と話すとき、子供が吃音であるとき、吃音の状態に合わせて質問の内容を調整してあげるといいでしょう。
ただし、吃音があるからといって短い言葉で話すことばかり強要しないようにしましょう。
吃音があっても自由に気楽に話せるという心理状態が最も重要です。
このためGILCUも他の吃音に関する手技と同様、あくまで吃音を軽減させるテクニックの1つです。
前提として、吃音を受け入れ吃音者と肯定的に接してくれる周囲の環境が大切です。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索