吃音の解説

吃音を軽減させるテクニック

公開日:2017年5月6日

吃音は現代でも完全な治療方法は確立されていません。

そのため吃音に対してできることは
できるだけ軽度の状態を維持すること。
吃音を本人・周囲ともに正しく理解し、2次障害を防ぐことに尽きます。

吃音を軽減させるテクニックは存在しますが、
これらは根本的に吃音をなくす方法ではありません。

あくまで一時的なテクニックです。

しかし、吃音を軽減させる方法を知ることは、
吃音に自信を持って向き合うことの助けになります。

今日は吃音を軽減させるテクニックを見ていきましょう。
もちろん個人差があるのでどれが合うか合わないかは個人によって異なります。
 
 
 

ゆっくり話す


ゆっくり話すことは吃音症状を軽減させる代表的な方法の一つです。
具体的には通常の速度の半分くらい速度に落とします。

しかし注意点があります。
それは周囲が「ゆっくり話すこと」を強要しないこと。

特に子供の吃音に対して「ゆっくり話しなさい」と叱るように言うのは避けるべきです。

本人が望んでもいないのにゆっくり話すことを強要することは
最終的には自己否定につながり、回避といった吃音にとって最も進行した症状を引き起こすことにつながります。
 
 
 

リズムをとって話す

 
リズムをとって話すことで、吃症状が軽減する場合があります。

この場合、一定のリズムに合わせてなめらかに話していくのがポイントです。
そうすることで、言葉と言葉のつなぎ目がなめらかになり、吃症状が軽減されます。

メトロノームの針に合わせるイメージで、一定のリズムでしゃべっていきます。

先ほどの「ゆっくり話す」ことと併用する意味でも、
はじめはゆっくりとしたリズムで話すことが有効です。

慣れてきたらスピードを少しずつ日常会話のスピードに近づけます。
 
 
 

引き伸ばして話す

 
引き伸ばし自体は吃音症状のひとつではありますが、
不自然にならない程度に引き伸ばすことで他の重篤な吃症状を軽減できる場合もあります。

引き伸ばして話すことも先述の「ゆっくり話す」「リズムをとって話す」こととの併用を視野に入れながら行っていきます。
 
 
 

軟起声(なんきせい)

 
軟起声とは、最初の音を若干伸ばしぎみに優しく発音していく方法です。


上図のように、始めの音が強くピークを最初にするのではなく
最初は優しくピークをなめらかに中央にもっていきます。
 
 
 

ささやき声

 
実用的かどうかはさておいて、
知識としては「ささやき声」も通常の声と比べると吃音が軽減することがあります。
 
 
 

独り言

 
ささやき声と同様に独り言も吃症状が軽減することがあります。
 
 
 

反復練習

 
音読などに関しては繰り返して読むことで吃症状が軽減することがあります。
1回目より2回目のほうがどもりが少ないのです。

吃音は、繰り返し読むことで同じ文章でもどもりが少なくなります。
しかし練習して上達はありますがその効果は長続きはしません。

ですので練習して吃音をなくしていくというよりは、
どもっていた文章を読めることで自信をつけるという意味合いのほうが強いでしょう。
 
 
 

一緒に話す、一緒に読む

 
一緒に話したり一緒に読む。人と声を合わせて一緒に言うことで吃音が軽減することがあります。

一緒に読むことを斉読と言ったりもします。

「斉読」も先述した「リズムをとって話す」にも通じることですが、
吃音は基本的には「自分でとったタイミング」で吃症状が起こりやすいです。

そのため話すリズムを外部化することで吃音が軽減する傾向が見られます。
「斉読」により他人のリズムに合わせる。
「リズムをとる」ことで一定の客観的なタイミングで話す。
そのほか歌を歌うなどもこれに該当します。
 
 
 

褒める、肯定する

 
これは本人というより周りの対応になりますが、
上述したようなテクニックを使ってなめらかに話すことができたときに褒めてあげるのも大切です。

褒められることで話すことが楽しくなり、また話そうと思えるポジティブな気持ちが大切です。

ポイントは上手に話せたことを褒めるのであって吃音を否定する形では褒めないこと。
 
 
 

仕切りなおす

 
消去法とも言われます。

どもってしまったらその言葉をずっと言おうと無理をし続けず、時には
2~3秒ほど間をおいて仕切りなおすのもひとつの手です。

気をつけることは、あくまで気持ち的に切り替えることであって、本当に言いたい事や伝えたい気持ちを諦めてしまわないようにしましょう。
 
 
 

文章の複雑さを段階を踏まえる

 
一般に、話す文章が長く複雑で抽象的なほど吃症状は出やすくなります。

ですので逆に考えると、
短く、簡潔で、答えがはっきりしている内容ほど話しやすいです。

そのため、難しい文章でもいきなり言うよりはじめに簡単な単語や文章を練習してからだと言いやすくなることがあります。

はじめは単語からで、徐々に長い文章に挑戦するように段階を踏まえていきます。

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