言葉が出たから大丈夫、というわけではない
子供の言葉が出るのが遅い。
言葉の発達が気になる。
しかしある時期から言葉が出始めて、今では簡単な文章も言ったりする。
ここで安心して、
子供の成長を注意深く見ることをやめたり、
発達支援センターや療育に通うことをやめてしまう親御さんが時折います。
しかしながら、
ここで「大丈夫」と安心するのはまだ早いです。
なんだかおどしているように聞こえてしまいますね。
もう少し正確に言うと、
「言葉の発達」というのは「量」だけでなく「質」も大切です。
しかしながら親御さんはパッと見でわかりやすい「量」に注目しがちで、「量」が少ないことの不安から「質」に目がいっていないことがあります。
子供の発達のペース
人間の言葉の発達は、必ずしも「日々ちょっとずつ一定のペースで増える」というわけではありません。
場合によっては、「ある日を境に急激に増え始める」というパターンがあります。
これは何も特別なことではなくて、ボキャブラリースパートなどと言われ学術的にも確認されている傾向です。
いずれにせよ、子育てをしていると、「急に成長した」と親が感じる機会はけっこうあるものです。
このときに、「よし、もう何もしなくて大丈夫」とするのではなく、
子供の成長が何を意味するのか、その成長に対してどんな背中の押し方をしてあげたらいいのかを考えることが大切です。
もちろん、子供の成長に対して親が安心するのは悪いことではありません。
気をはってばかりの子育てじゃあ、息が詰まってしまいます。
子供の成長をよかった・嬉しいと感じることはいいことです。
ここで言っているのは、
子供の言葉の「量」さえ増えれば万事OKかというと、それは早合点であるということです。
会話の量と質
例えば言語発達学において、会話の「話題の継続性」という概念があります。
同じくらいの量の言葉を話す子でも、
話題がとびとびになるお子さんと1つの話題に沿って話を続けられるお子さんがいます。
この子たちの違いは、「話題の継続性」が発達に見られるか否かです。
一般に、子供はまず言葉が増えたくさん話す時期がきます。
そしてそのあとに徐々に「話題の継続性」が身に着いてきます。
話題の継続性は言葉のキャッチボールには必要不可欠です。
このように、会話の場面1つにとっても量だけでなく質も大切であることがわかります。
おわりに
子供の発達の専門家の多くは、子供の言葉の量だけでなく質も注目しています。
そのため親御さんからしたら、「こんなに話せているのに、専門家はこれ以上何を見ようとしているのだろう」と思うこともあります。
しかし、子供の言葉の発達は量だけでなく質も大切で、発達健診や療育場面での専門家はそういった点を見ています。