今日は子供が会話をできるようになる年齢について考えます。
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会話ができるのは何歳?
子供は個人差はあるものの、1歳頃から言葉を発し始めます。
その後、言葉が増え、文章を話、文章の質が向上していきます。
「言葉のキャッチボール」と言われるように、ただ話すだけでなく会話は相手を意識した相互性が必要です。
子供が会話ができるのはおおむね5~6歳頃。
この頃になると相手を意識した会話ができるようになっていきます。
以下、もう少し詳しく、これらの根拠も踏まえてみていきましょう。
「会話」の定義って?
何をもって「会話ができる」とするか。その定義って難しいですね。
何を「会話」とするかは人によって様々ですが、学術的に一般的なものを挙げてみましょう。
言語学者のポール・グライス氏が述べたもので、会話のルールにおける「協調原理」というものがあります。
協調原理とは「会話が成立するには、流れに沿った話をしていくことが必要だよね」という考え方。
そしてこの協調原理を成り立たせるには、
・過不足なく話す(量)
・嘘は言わない(質)
・関連性のある話題を話す(関連性)
・曖昧な表現は避けて簡潔に(様態)
という4つの公準を意識しましょうとされています。
つまり、1つの考え方として「会話が成立する」とは「協調原理」を満たすことで、「協調原理」に必要な4つの公準が備わるのは何歳かがわかれば「会話ができる年齢」がわかるわけです。
以下、4つの公準それぞれの対象年齢をみていきましょう。
協調原理における公準
量の公準
質の公準とは「適切な量を話す」ということ。
多すぎても少なすぎてもダメ。
会話で相手のことを考えずただ自分の口から出ることをダラダラ話すことってありますよね。
このダラダラ話すこと「冗長性」と言います。
「冗長性」は3歳前半頃から見られます。
そして、
4歳頃になると冗長性が消失し始めます。
5歳頃になると必要な部分は「詳細に」説明できるようになってきます。
6歳頃になると要約ができ始めます。
このように考えると、量の公準を満たすのは5歳頃であることが予想できます。
質の公準
質の公準とは「真実を話す」「嘘は言わない」ということ。
これはわからないことは「わからない」と言うということでもあります。
子供は幼い頃、「わからないこと」や「自分の言葉で表現できないこと」に対して黙り込んでしまう無反応時期があります。
この無反応時期を終え、わからないことは「わからない」と言えるようになるのは2歳後半以降。
つまり質の公準は2歳後半以降に満たすことが予想されます。
関連性の公準
関連性の公準とは「関連したことを話す」こと。
文脈から逸れないように。
会話の関連性を維持するには、
・話題の意図を読みとる。
・話題が逸れていないか現在進行形で客観的に見れる。
が必要になってきます。
これらが備わるのは4歳頃から。
関連性の公準は4歳頃に満たすことが予想されます。
様態の公準
様態の公準とは「順序よく、簡潔で、曖昧な表現を避けて」話すこと。
自分の話していることの信憑性を客観的にみることができはじめるのは3歳頃。
3歳頃になると「~かもしれない」といった表現ができはじめます。
そして、先述の通り6歳頃になると話を要約することができ始めます。
このように考えると、様態の公準を満たすのは6歳頃であることが予想されます。
まとめ
以上のように、4つの公準を全て満たし、協調原理の下で会話をできるのは少なくと5~6歳頃であることがわかります。
しかしながら、子供の発達には個人差があります。
また、大人でも「人の話を聞かない人」って多いですよね。
そう考えると、「会話ができる」って誰にとっても生涯を通した課題なのかもしれません。
その他の記事
参考資料
『質問一応答関係検査1』(J-STAGE)2018年6月20日検索
『質問一応答関係検査2』(J-STAGE)2018年6月20日検索