前回の記事で「オオカミ少年」の話では子供の嘘を減らせるような効果は得られないことを述べました。
前回の記事:子供は何歳から嘘をつくのか?④ ~子供の嘘に対する教育~
ではどのような教訓を含んだ寓話が子供には効果的なのでしょう?
子供の頃、ある日ワシントンは新しい斧を手に入れました。
新品の斧を使ってみたくて、ついついワシントンはお父さんの大切にしていた桜の木を切ってしまいます。
怒られると思いながらも、ワシントンは正直に「僕がやりました」と言います。
するとお父さんは怒ることはなく
「お前が正直に話してくれたことは、1000本の桜の木よりも価値があるよ」と言ってくれたのです。
海外では有名な、「ジョージ・ワシントンと桜の木」というお話です。
この話には正直に話すことの大切さが教訓としてあります。
この話を子供に聞かせると、少年の場合は75%、少女の場合は50%嘘が減少したそうです。
嘘をつくのは悪いこと。
嘘をついたら罰を受ける。
そんなこと、子供はみんな知っているのです。
子供は成長する中で、嘘が悪いことで罰を受ける対象になることは先に知ります。
大人が教えるべきは、真実を話すことの価値とその理由です。
「ジョージ・ワシントンと桜の木」という話では、正直に話すことで相手が褒めてくれるという発見が子供達にはあるのです。
では嘘をついた子供に親はどのような言葉かけをすべきでしょう?
ポイントは2つです。
1.正直に話すことで、嘘をついたことでの罰を回避できる
2.正直に話すことで親(先生)が喜んでくれる
子供は上記2点を確信できたとき、嘘をついたことを告白しやすくなります。
具体的な言葉かけとしては、
「正直に話してくれればお母さん(お父さん)は怒らないよ。あなたが正直に話してくれるのがお母さん(お父さん)は一番嬉しいんだから」
子供にとって、親や先生の評価というのは非常に大きなものです。
子供は嘘をつくことで、親や先生からの評価が下がることに恐怖します。だから嘘をつき通そうとします。
正直に話すことで親や先生が喜んでくれることを知ることで子供は安心して真実を話すことができます。
上記に次いで効果的な言葉かけをもう一つ。
子供が明らかに嘘をついている様子。本当のことを話してほしい。そんなとき、どのような言葉かけが有効でしょう?
「ひとつ、聞きたいことがあるの。でもその前に、本当のことを言うって約束してくれないかしら?」
と言って子供に「いいよ」など同意を得ます。
その後に、「ありがとう。それじゃあ聞くけれど、○○?(本当は黙ってお菓子を食べた?など)」本題に移ります。
誘惑のパラダイムの実験によると、
この事前の約束をすると嘘が25%減少しました。
事前の約束をするだけ人は嘘がつきにくくなるものです。
次の記事:子供は何歳から嘘をつくのか?⑥ ~社交辞令を言うのは何歳?~
【参考文献】
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年