構音の解説

カ行の発音練習(1)~練習のための前提条件~

公開日:2017年12月26日

子供の滑舌は自然に上達する場合が多いですが、
中には練習が必要なお子さんもいます。

発音の練習を専門用語で「構音訓練」と言ったりもします。

今回は日本語の音の中で苦手なお子さんをしばしば見られるカ行の音についてです。

※「かきくけこ」の発音の仕組みを踏まえた上で話を進めるので、補足記事を参考の上ご覧ください。

補足ページ:「かきくけこ」(カ行)の発音の仕方

 
 
 

「かきくけこ」の出し方

 
「かきくけこ」は、舌の後ろの部分を上げ、軟口蓋(口の上の後ろの方)にくっつけることで出せる音です。

例えば「た」という音と「か」という音を発音してみてください。
「た」は舌の前の方が、「か」は舌の後ろの方が動いています。
カ行の発音にはこの後舌(舌の後ろの部分)のコントロールが必要です。

「軟口蓋?」という方は以下をご参照。

補足ページ:発声発語器官の名称 ~人はどうやって声を出すのか?~
 
 
 

練習にあたって

 
発音の練習にあたっては、以下のことが前提になります。

・口蓋裂などそもそも発音を阻害する疾患がない
 (あるいは手術済み)
・難聴がない(あるいは対処済み)
・発音の練習をする適齢期である(4歳以降)
・音の意識がしっかりついている
・カ行より簡単に出そうな音の練習が終わっている

カ行より簡単な音としては、例えばマ行、パ行、バ行、タ行などです。
発音はどれからしないといけないということはありませんが、その子自身が出しやすそうな音から取り組む方が良いでしょう。

補足ページ:子供の発音は何歳まで様子を見て、何歳から練習させたほうがいいのか?

音の練習をするのですから、「音の意識がしっかりついている」ことも重要です。
音の意識については以下をご参考ください。

補足ページ:まずは音の意識をつけていこう
 
 
 

どの音から?

 
「かきくけの」のうち、どの音から必ず練習しないといけないという決まりはありません。
その子自身が一番出しやすそうな音や、すでに出つつある音から始めてOKです。

特に出しやすそうな音がない場合は、「か」から始めるのが無難でしょう。
 
 
 

練習 ~聞き取り~

 
以下、練習を進めていきます。

まずは聞き取り練習です。
練習する音を聞きとれないとそもそも発音練習はできません。

例えば「かめ」が「ため」、
つまり「か」が「た」になっているなら「か」と「た」を聞き分けることができるようになりましょう。

「『か』って言ったときだけ手を挙げてね」
など言って「か」と「た」を聞き分ける練習をします。
 
 
 

練習 ~舌の運動~

 
いきなり音の練習に入るのではなく、
まずは出したい音に必要な舌や口の動きを練習します。

カ行は後舌を動かす音です。
カ行の発音以外で日常的に後舌を動かす動作としては「うがい」があります。

このうがいとは口に水を含むだけの「ブクブクうがい」ではなく、
上を向いて口の奥でする「ガラガラうがい」のことです。

「ガラガラうがい」は後舌を動かさないとできません。
つまり「ガラガラうがい」ができれば後舌を動かす感覚をつかめるわけです。

カ行が出ないお子さんで、うがいができないお子さんはまずうがいの練習から始まります。

次回、このうがいの練習を具体的に見ていきます。

次の記事:カ行の発音練習(2)~うがいの練習~
 
 
 
 
 
 
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