音韻に着目した九九の指導方法
九九に限らずですが、学習の指導はその子の特性に合わせたものが有意義です。
九九の学習においてその子に音韻に苦手さが見られる場合は、視覚化や意味付けといった指導・支援が考えられます。
音韻の苦手さとは、例えば7(しち)と8(はち)など音が似ているものを聞き間違える・混同するといった誤りが比較的多い状態を指します。
解説
音韻の苦手さ
4(し)と7(しち)、7(しち)と8(はち)など、音韻が似た九九は誤答率が高い傾向にあります。
「唱える際の音が似ているので混同しやすい」ということを表していると言えるでしょう。
日本の教育現場では、九九は「何度も声に出して覚える」というやり方が主流です。
聴覚刺激の繰り返しで短期記憶から長期記憶へ定着を図る九九の学習方法において、音韻の力に苦手さがある子はそうでない子よりも九九の学習に苦戦する可能性があります。
音韻の苦手さをカバーする九九の指導
その子に音韻の苦手さがある場合、九九の指導は視覚化や意味付けにて行うことも選択肢として挙がるでしょう。
視覚化とは文字通り目で見てわかるようにカードなどを使う方法です。
音韻の誤りが多い場合は耳から入る音だけでなく、目から入る数字や図が理解を促すかもしれません。
また、音韻ループに苦手さをカバーするために意味ルートを活用することも有意義です。
掛け算の仕組みや傾向を知識・理屈として指導することで、単なる音の暗記ではない角度でアプローチします。
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧