ワーキングメモリの苦手さに着目した九九の指導方法
九九に限らずですが、学習の指導はその子の特性に合わせたものが有意義です。
九九の学習においてその子にワーキングメモリ弱さが見られる場合は、その負荷を減らす指導・支援が有意義です。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に覚えてそれを操作する力のことです。
解説
ワーキングメモリ弱さ
学習障害(LD)など、読み書きにつまずく背景には音韻の弱さやワーキングメモリの弱さがあると考えられています。
音韻の苦手さとは、例えば7(しち)と8(はち)など音が似ているものを聞き間違える・混同するといった誤りが比較的多い状態を指します。
これに対し、ワーキングメモリの弱さがある場合はまた違ったつまずき方が見られます。
具体的には、九九を言って行く際に自分がどこまで言ったかはわからなくなってしまうなどです。
九九に限らず、例えば1桁の足し算であってもワーキングメモリの負荷は比較的大きいと言われています。
根性論で教えるのではなくその子の特性に合った指導方法が大切でしょう。
ワーキングメモリの弱さをカバーする九九の指導
その子にワーキングメモリの弱さがある場合、九九を覚えることに伴う負荷を軽減させていきます。
例えば問題は指導者が言って子供には答えだけを言ってもらう方法です。
指導者が「ニゴ(2×5)?」などと出題し子供に「ジュウ(10)」と答えてもらいます。
九九カードを使う際に答えだけを言う方法もあるでしょう。
いずれにせよ、その子自身がやりやすい選択した方略で学習をできることが望ましいでしょう。
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧