つまずきやすい掛け算(九九)は?
一般的に、九九は7の段や8の段がつまずきやすい傾向にあります。
より具体的には、4(し)・7(しち)・8(はち)など音が似たものが混ざった九九は覚えにくい傾向があります。
解説
間違いやすい九九
日本LD学会の論文にある、小学校2年生の12月に調査した九九の正答率によると、以下の九九が比較的間違いが多かったようです。
- 4×9
- 6×7
- 7×4
- 8×3
- 8×7
- 2×7
また2月に再調査した結果は以下のようになります。
- 7×6
- 8×6
- 6×4
- 6×7
- 7×4
- 4×7
いずれも冒頭で述べた通り、4(し)・7(しち)・8(はち)など音韻が似たものが間違いやすい傾向にあります。
九九と音韻
7や8を含むもの、および音韻が似た九九は誤答率が高い傾向にあります。
これは文字通り「唱える際の音が似ているので混同しやすい」ということを表していると言えるでしょう。
日本の教育現場では、九九は「何度も声に出して覚える」というやり方が主流です。
聴覚刺激の繰り返しで短期記憶から長期記憶へ定着を図る九九の学習方法は、音韻が似ている数字を間違いやすいと言えるでしょう。
同じ「何度も声に出して覚える」という方法を行う場合でも、「音韻が似ているところに注意する」という着眼点を持つだけでも学習が有意義なものとなるでしょう。
また音で覚えることが苦手な子は見て覚えるなど刺激の入れ方を変えてみることも大切です。
九九の特性やそれぞれの学習方法の特徴を踏まえることで、その子に合ったより良い学習方法を見出していきましょう。
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧