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「くれよんのくろくん」は何歳向け?
絵本「くれよんのくろくん」の対象年齢はいくつくらいなのでしょう?
絵本は自由に読んでいいもので、一律に「何歳から」と決める必要もありませんが、内容などを加味すると、
「くれよんのくろくん」は5歳前後くらいからがより子供の成長の手助けになると考えられます。
解説
「くれよんのくろくん」とは?(ネタバレ)
絵本「くれよんのくろくん」は「くろくん」をはじめとしたクレヨン達の物語です。
クレヨン達は自ら楽しそうに絵を描きます。
あおくん、あかさん、みどりくん etc…
そんなお絵描きの仲間に入りたい「くろくん」。
でも黒色は主張が強くで描いた絵が塗りつぶされてしまう。
みんなは「くろくん」を仲間外れにします。
「くろくん」は自分自身の色に不満を感じてしまうシーンも。
しかし、「くろくん」が画用紙を塗りつぶすことで「夜」の絵になり、そこに他のクレヨン達が絵を描くことで「花火」の絵ができあがります。
こうして「くろくん」の「黒色」の持ち味を出すことができ、みんな仲直り。
というストーリーの絵本です。
色の名前がわかるのは何歳から?
「くれよんのくろくん」は様々な色のクレヨンが登場する物語です。
青色は「あおくん」、赤色は「あかさん」、黄色は「きいろくん」
それぞれの色にシンプルな名前がついています。
赤・青・黄・緑などの原色だけでなく、「水色」や「茶色」など様々な色が登場します。
人は色の認識自体は比較的早期から可能です。
しかし赤色を「赤」と言葉を結び付けることができるようになるにはやや時間を要します。
子供の発達をみる検査で「認知・言語促進プログラム(N-Cプログラム)」というものがあります。
認知・言語促進プログラムによると、
色の名前を10色以上言えるのは4歳以降とされています。
つまり色名が多様に出てくる「くれよんのくろくん」という絵本は4歳前後から特に良い刺激になることが予想されます。
批判能力がつくのは何歳から?
「くれよんのくろくん」はストーリーとしては、
「くろくん」が仲間外れにされる
↓
「くろくん」が落ち込む
↓
自分の持ち味に気づく
↓
自分の色を活かしてみんなのトラブルを解決する
↓
みんなと仲直りする
といった流れです。
この紆余曲折あるストーリー性を理解できたほうが、「くれよんのくろくん」はより楽しめると考えられます。
ストーリー性の理解というのはなかなか幅があり、何をもって「理解できた」と考えるかは難しいところです。
しかし、例えば津守式乳幼児精神発達質問紙を参考にすると、
禁止されている行為を他の子がやったとき、それを注意できるのは5歳頃とされています。
つまり5歳頃になってくると物事への批判能力の芽生えが出てくることが予想されます。
「くろくん、仲間外れにされてかわいそう」
「みんな仲間に入れてあげればいいのに」
そういった発想は5歳前後からやりとりできることが予想できます。
まとめ
絵本は自由に読んでいいものです。
字が読めなくても、親御さんが読み聞かせてあげれば充分楽しめます。
だから絵本に対象年齢というものは厳密にはないのかもしれません。
しかし一方で、どんな絵本をどのように読むか、どんな意図の下で読むかで子供の成長を促すきっかけになります。
絵本「くれよんのくろくん」は多様な色の名前が登場する絵本です。
また、クレヨン達の人間関係がシンプルではありますが描写されています。
「くれよんのくろくん」は4~5歳前後くらいから一緒に物語の感想を話しながら読むとより楽しめるでしょう。
参考資料
なかやみわ『くれよんのくろくん』童心社、2013年