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共通実行機能・固有実行機能とは?
共通実行機能と固有実行機能は、実行機能を構成する下位概念についての比較的新しい考え方です。
実行機能を抑制・切り替え・更新の3つに下位概念に分けたMiyakeらによる、新しい説がこの共通実行機能と固有実行機能です。
解説
実行機能の下位概念
実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」を指します。
つまり目的を達成するために自分をコントロールできる力のことです。
実行機能についての理論は非常に多様ですが、実行機能は単独の機能ではなく複数の下位要素が合わさっているとする考えが主流です。
しかしながら、実行機能がどのような下位概念で構成されるかは諸説あります。
Miyakeらの分類
実行機能の下位概念の説で比較的有力なものがMiyakeらによる3つの下位概念です。
つまり抑制・切り替え・更新です。
しかしMiyakeらは自身らの理論をより発展し、近年は冒頭で述べた共通実行機能と固有実行機能という概念を提唱しています。
共通実行機能とは?
共通実行機能とは、目標やそれに関わる情報を能動的に維持し、効率よく情報処理を行うための能力です。
共通実行機能は「共通実行機能要素(common executive function)」の英語から「Common EF」と表記されることもあります。
共通実行機能は旧来の「抑制」に近い概念ですが、実行機能全体に関わるまさしく「共通」の能力です。
固有実行機能とは?
固有実行機能とは文字通り各下位概念に固有で関わる能力を指します。
旧来の切り替えや更新に関わる概念と言えます。
Miyakeらの下位概念の新旧比較
旧来のMiyakeらの下位概念は抑制・切り替え・更新でした。
このうち抑制は共通実行機能と同一と考えられています。
また共通実行機能は切り替えと更新にも影響を及ぼしていると考えられています。
切り替えと更新はそれぞれの固有実行機能を持ちながら、同時に共通実行機能の影響も受けていると解釈されています。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索
『知的障害児のプランニングと抑制機能の支援に関する基礎的・実践的研究』(東京学芸大学)2022年5月5日検索