メンタライジングとは?
メンタライジングとは、相手の気持ちを推察する力のことです。
メンタライジングは人が社会の生きていく上で大切な力の1つであり、そのメカニズムには「心の理論」が関連します。
解説
メンタライジングの意味
メンタライジングは他者の信念や欲望といった心の状態を類推したり理解できる力のことです。
「相手は○○と思っているんだろうな」と相手の立場に立って考えることができるのがメンタライジングの力です。
これには「心の理論」の力が大きく関わります。
心の理論はメンタライジングを含む力であり、相手の立場になって考えることができる力です。
定型発達において心の理論は4~5歳頃に獲得されると考えられており、コミュニケーションの発達における象徴的なものの1つとなっています。
メンタライジングの例
相手の心の状態を推察する課題として有名なものに「サリーとアンの課題」があります。
サリーとアンが部屋で遊んでいます。
サリーはボールをカゴの中に入れて部屋を出ました。
サリーがいない間に、アンがボールを別の箱の中に移しました。
サリーが戻ってきてボールを探すとき、どこを探すでしょう?
この問題の答えは当然ながら「カゴの中を探す」になります。
なぜならサリーはアンがボールを移したことを知らないため、先ほど自分が入れたカゴの中にボールがあると思っているからです。
問題を出された人は、アンがボールを箱に移した一連の流れを俯瞰して知っています。
しかしながらこの問題はあくまで「サリーはどこを探すでしょう」というサリーの視点に立って考える必要があります。
類似した問題として、「スマーティ課題」と呼ばれるものもあります。
事前にお菓子の箱の中に鉛筆を入れておきます。
検査室に子供が入り、課題が始まります。
検査者が「この中に何が入っているかな?」と聞きます。
子供はお菓子の箱なので当然「お菓子」と答えます。
検査者は中身の鉛筆を見せ、再び箱を閉じます。
「この箱をA君(この場にいない子)に見せたら、箱の中に何が入っているって言うかな?」
答えは「お菓子」であり、こちらもサリーとアンの課題と同様メンタライジングおよび心の理論が必要な課題となっています。
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年