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メチルフェニデートの副作用
メチルフェニデート徐放錠とは、一般的に「コンサータ錠」と呼ばれるADHDの治療薬の成分です。
以下、メチルフェニデートの副作用について、日本心身医学会のADHDに関する論文を踏まえ挙げていきます。
解説
副作用
- 頭痛
- 腹痛
- 違和感や軽度の微熱
- 不眠
- 食欲低下
- 情緒不安定
もちろん個人差はありますが、副作用としては上記のようなものが考えられます。
このうち、頭痛や腹痛に関しては服用を継続する中で改善していくケースが多いようです。
不眠は特に服用時間が遅れた際の入眠困難として出現する場合があるため、服用時間・タイミングは大切です。
メチルフェニデートについて臨床上最も懸念される副作用は食欲低下であると考えられます。
服用に伴い、給食を残すようになった子は比較的多く見られるようです。
このため、朝食を十分に食べる、作用の切れる夜などに補食する、週末や長期休暇は休薬日を設けるなどの工夫が有意義でしょう。
また、子供達の体重が(成長期なのに)横ばいになったり減ったりしないよう経過を把握することも重要です。
情緒不安定の副作用も、薬の中止を検討する要因の1つとなり得ます。
情緒不安を背景としたこだわりの増強や抜毛などが見られた場合は、医師に報告・相談をしましょう。
長期的副作用で懸念されるもの
- 神経発達への影響
- 成長遅延
- 心血管系への影響
- 依存リスク
あくまで懸念されるものです。
ただしメチルフェニデートは脳容積の変化に悪影響は及ぼさないと考えられています。
成長遅延については最終身長へ影響は考えられるものの、ごくわずかであるとされています。
依存リスクについては後述します。
依存リスク
メチルフェニデートは報酬系に作用するため、依存リスクが考えられます。
このためメチルフェニデート徐放錠の投与は30日までに上限が定められており、登録した医師しか処方できず、登録した薬剤師しか調剤できないという流通規制が行われています。
ただしメチルフェニデート徐放錠はメチルフェニデート速放錠に比べて血中濃度の推移が穏やかになっており、依存リスクが軽減されています。
どの薬についても言えることですが、使用の際は医師の指示を仰ぎ、用法・容量を守って使用することが大前提となります。
禁忌
- 運動性チック
- トゥレット症またはその既往歴・家族歴
- 甲状腺機能亢進
- 不整頻拍
- 狭心症
上記のような疾患のある患者には禁忌となっています。
また、てんかんあるいはその既往がある患者には、痙攣閾値を低下させる恐れがあるため慎重投与となっています。
心疾患を有する小児では突然死のリスクを高めるとの報告もありますが、心疾患のない小児ではそういったリスクは報告されていないようです。
参考資料
『メチルフェニデート』(e-ヘルスネット 厚生労働省)2022年12月10日閲覧
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧