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水飲みテスト、改訂水飲みテストとは?
食べることや飲む込むことに障害があることを摂食嚥下障害と言います。
摂食嚥下障害はリハビリの対象となる障害ですが、
リハビリを行う上ではまず検査を行い障害状況を評価および把握します。
「水飲みテスト」および「改訂水飲みテスト」は摂食嚥下障害に関する検査です。
どちらも簡易的で、摂食嚥下障害におけるスクリーニングテストに位置づけられます。
水飲みテスト(WST)
概要
水飲みテストは、その名の通り患者さんに水を実際に飲んでもらう検査です。
水を嚥下(飲む)してもらい、その反応を見ます。
方法
まず2.3mlの水を飲んでもらい、安全に飲めることを確認します。
その後、常温の水30mlを一度で飲んでもらいます。
判定
5秒以内にむせることなく飲むことができれば正常とされます。
5秒で飲めない、むせがあるなどの場合は嚥下障害の可能性を考えます。
また、具体的な観察項目としては、
1.むせる。全量飲むことが困難
2.2回以上に分けて飲んでも、むせる
3.1回で飲めるが、むせがある。
4.2回以上に分けて飲むが、むせることなく飲める
5.1回でむせることなく飲める
どれに該当するかチェックします。
改訂水飲みテスト(MWST)
概要
水飲みテストだと、その水の量からむせが見られる人がリハビリ現場では比較的見られます。
もっと安全に水飲みテストを行うためにできたのが改訂水飲みテストです。
端的に言うと、
改訂水飲みテストは水飲みテストの水の量を減らした検査です。
方法
冷水3mlを飲んでもらいます。
水飲みテストを行うなら、先に改訂水飲みテストを行う方がスムーズでしょう。
判定
実施した際の様子が、
1.嚥下できない
2.嚥下できる。むせもないが、呼吸変化がある
3.嚥下できるが、むせたり湿性嗄声がある。
4.むせや湿性嗄声ないが、追加で空嚥下を2回できない。
5.追加で空嚥下を30秒以内に2回できる
※湿性嗄声とは湿ったしゃがれた声のことです。
※空嚥下とは何も口に入れないで飲み込むこと、つまり自分の口の中の唾液を飲み込むことです。
実施、「4」以上であれば合計3回実施して一番悪かった評価をその患者さんの改定水飲みテストの結果とします。
おわりに
本来、嚥下障害の方やその疑いのある方にとって水分を飲むという行為はなかなか危険で難しい行為です。
なぜなら水分はその性質上、体内への流れ込みが速く、嚥下が難しい物質です。
そのため、少量の水とはいえ水飲みテストを実施するときは充分な配慮が必要です。
摂食嚥下障害の評価
参考資料
『摂食嚥下障害の評価 2019』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2020年8月3日検索