目標抑制とは?
目標抑制とは、自分にとって重要なことに集中することで、他の関心事についてあまり考えられなくなることです。
目標抑制は他の物事が見えにくくなるため集中を得られるメリットがあります。
しかしリスク管理や合理的な判断に無意識で影響を及ぼすためデメリットも大きいと考えられます。
研究
目標の書き出し
心理学の研究において被験者に目標(「○○で成功したい」など)を書き出してもらう実験があります。
この実験では被験者は2つのグループに分けられます。
1つ目のグループは「自分にとって重要な目標」を挙げるように言われます。
2つ目のグループは、なんでもいいので目標を挙げるように言われます。
両グループはその後、次の実験に移ります。
今度は両グループとも「なんでもいいのでできるだけ目標をたくさん」挙げてもらいます。
すると、「重要な目標」をあらかじめ挙げたグループの方が、そうでないグループより「なんでもいいので目標をできるだけたくさん」挙げるときの量が30%少なかったそうです。
これは前段階で「重要な」という指定を受けたゆえに、それが無意識に影響し「なんでもいいとき」でも目標が抑制されてしまったと考えられます。
語想起の実験
1分間に「白いもの」をたくさん挙げる実験があります。
このとき、例(牛乳や雪)を提示すると、呈示しないときよりも思いつける言葉の数が少なかったそうです。
これは白いものを思い浮かべるときにヒントとなった牛乳や雪が頭の中にある、他の物を思いつく邪魔をしていると考えられます。
解説
関連した言葉を思い浮かべる際、ヒントがあるとむしろ発想を縛ってしまうというのは興味深いです。
しかしこれは状況にもよるかもしれません。
例えば幼い子供に「果物をたくさん言ってみて」と言った場合、もしその子にとって「果物」という概念の理解が曖昧なら、ヒントを出してあげたほうが言葉の数は増えるかもしれません。
一方で例えば先述の「白い物」など比較的幅のあるテーマにおいて、「牛乳」「餅」など特定のヒントで縛ってしまった場合は発想を邪魔するかもしれません。
このとき幼い子供であれば、「白い物」ではなく「白い食べ物」に意識が向いてしまうかもしれないからです。