懐かしさを感じるのは何歳から?
「郷愁」や「ノスタルジー」など言葉はいろいろありますが、
人は何歳くらいから「懐かしい」という感覚を感じるものなのでしょうか。
大なり小なり人はいくつでも懐かしさは感じるのかもしれませんが、
懐かしさを感じやすくなってくるのは20歳以降、
60歳以降になるとより懐かしさを感じると考えられます。
懐かしさの研究
日本心理学会の研究論文の中に、懐かしい音楽の研究があります。
この研究では、
参加者に「懐かしいと思う音楽」を挙げてもらい、
じゃあその音楽は「何歳頃に聞いていた音楽か」を答えてもらいました。
調査の結果、
平均17.6歳の頃に聞いていた音楽を、「懐かしい音楽」として挙げる傾向が見られたようです。
また20歳代の場合は12.8歳頃に聞いていた音楽を「懐かしい音楽」と挙げる傾向があったようです。
調査は20~60歳代と幅広い年齢で行われましたが、
いずれの年代においても青年期から成人期前期に聞いていた音楽を「懐かしい」と捉える傾向があるようです。
懐かしさとレミニセンス・バンプ
人が過去の出来事を思い出す場合、10代~30代の出来事をよく思い出すと言われています。
この現象のことを「レミニセンス・バンプ」と言います。
レミニセンス・バンプは特に60歳以降から強く感じると言われており、「懐かしさ」や「郷愁」に関連する現象と考えられます。
おわりに
「昔はよかったなあ」と懐かしむことを懐古主義と言ったりしますね。
懐かしさとテレビCMの関係を研究した論文によると、
男性の場合、懐古主義は60代がピークと考えらています。
60代が最も昔を懐かしむ傾向が強くなると考えらているわけですね。
その一方で、
女性の場合は懐古主義は40代でピークを迎え、以降はその割合が下がっていくとされています。
懐かしさについて男女で感じ方が異なるのも、興味深いですね。
補足記事
参考資料
『幼児期健忘と最初期記憶に関する研究の現在』(甲南女子大学 学術情報リポジトリ)2020年6月13日検索
『ノスタルジア喚起CMが広告認知と消費行動に及ぼす効果』(日本認知心理学会第6回大会 J-STAGE)2020年6月13日検索
『なつかしい音楽の時間的分布―なつかしさ喚起の規定因の検討』(日本心理学会第82回大会 J-STAGE)2020年6月13日検索
『自伝的記憶の分布,想起内容とその特徴』(J-STAGE)2020年6月20日検索
『自伝的記憶研究の理論と方法』(日本認知科学会)2020年6月20日検索