非認知能力を伸ばすには複雑なスキルを分割しない
非認知的能力(非認知的スキル)を伸ばすには、非認知的な側面と認知的な側面が混ざり合った複合的な活動を経験することが有意義と考えられます。
認知的な活動を通しながらも、その中に非認知的な活動が含まれる二重意図教育が有意義です。
解説
非認知能力を育てる最良の方法
カリフォルニア大学のマイク・ローズは、ソフト・スキル(非認知能力)を育てる最良の方法は認知的側面を持つ有意義な活動を通じてのものと述べています。
非認知的な側面と認知的な側面が混ざり合った複合的な活動が、結果として非認知能力の向上に貢献すると考えられます。
これは自身の経験に当てはめてみると想像しやすいかもしれません。
スポーツが上手くなろうと必死に取り組んだ部活。
勉強を一生懸命やった受験勉強。
スポーツの技術も受験の知識もこれらは「認知的な能力」です。
しかしこういった部活や受験を通して、自分の精神面が強くなったと感じる人は少なくないのではないでしょうか。
認知的な活動を通して、非認知的な面が育まれることは往々にしてあります。
大切なのはこのような意図をわかった上で活動や教育を行うこととも言えるでしょう。
スキルを分割するデメリット
このため複雑なスキルを分割し過ぎた教育は、好ましくない結果を招くことも予想されます。
認知的スキルだけを過度に取り出した活動(例えば技術的な作業を淡々と繰り返すだけの学習)では、非認知的な能力を育むことは期待できないでしょう。
一方で、認知的能力を排除し過ぎた活動は、ただ「好きに遊んでいるだけ」の活動になってしまう可能性もあります。
認知的側面と非認知的側面を複合させた「質の高い」遊びや活動が、教育には求められると言えます。
そして指導者は複合された活動から認知的側面と非認知的側面の双方を見出す技量が必要となるでしょう。
非認知能力とは?
参考資料
ジェームズ・J・ヘックマン(著)、古草 秀子(翻訳)『幼児教育の経済学』東洋経済新報社、2015年