音韻意識と短文読解の関係
音韻意識と短文読解の力には相関があると考えられます。
音韻意識とは言葉の音の区切りを認識し操作できる力のことです。
例えば「すいか」という単語を聞いたとき、1文字目が「す」、2文字目が「い」、3文字目が「か」であるのは音韻意識が備わっているからです。
音韻意識は幼児期後半頃から急速に発展していき、文字の読みや文章の読解の力に関連すると考えられます。
解説
音韻操作課題と読解の相関
日本コミュニケーション障害学会の論文によると、音韻操作課題である音削除課題・逆唱課題の得点は短文読解課題の得点と相関が見られたそうです。
またそれぞれを見ると、逆唱課題のほうが音削除課題よりも読解との相関が高かったそうです。
音韻意識が獲得されている子は、短文の読解課題も理解できていたことがうかがえます。
音削除課題とは特定の音を単語から抜く課題です。
例えば「か」の音が指定された場合は「からす」を「らす」と答えます。
逆唱課題は単語を逆から言います。
例えば「からす」であれば「すらか」と答えます。
いずれも音韻操作課題として基礎的なモーラ分解・抽出(音韻分解・抽出)と比べると音削除課題・逆唱課題は難しい課題と言えます。
音韻意識と読解の発達の流れ
定型発達において、音韻意識は就学前に(特別な指導を受けることなく)自生的に形成され、それを基盤として文字の読み習得が始まると考えられます。
また、音韻意識は就学後の読み書き学習でさらに促進されている可能性もあります。
読字の進展と共に音韻意識もさらに発展していくと考えられるでしょう。
参考資料
『仮名読みの獲得過程に対する音韻操作能力の関与』(日本音声言語医学会)2024年1月26日閲覧
『健常児における音韻意識の発達』(日本コミュニケーション障害学会)2024年1月27日閲覧
『幼児における音声産出能力の発達と音韻意識の関係』(日本コミュニケーション障害学会)2024年1月20日検索