応答の指さしについて
応答の指さしの発達過程
応答の指さしはさらに細かく見ると以下のように、3つの段階があります。
- 限定された状態での応答の指さし
- 文脈の中での応答の指さし
- 一般的表象である応答の指さし
解説
限定された状態での応答の指さし
例えばその子がお母さんと一緒にいる状態で、「ママは?」と聞かれて指をさせる状態です。
「ママ」を指せるからといって必ずしも「パパ」を指せるとは限りません。つまり理屈は同じでもできるものとできないものがある状態です。
その子が答えられる対象が目の前に明らかにあるような、限定的な状況のみ応答の指さしが成立するような状況です。
文脈の中での応答の指さし
文脈の中でなら、様々な対象に応答の指さしが可能になっていきます。
例えば「お母さん」や「お父さん」の話題であれば、「ママ」「パパ」など多様に指さしができる状態です。
また、不在のものに対しても応答の指さしができるのもこの段階からです。
例えば「パパは?」と聞いたときに、仕事に行っているため玄関を指さすなどです。
さらに、身体部位の指さしができてくるのもこの段階です。
「目は?」「鼻は?」などです。
これは自分の身体が見えないことを踏まえると、上述の「不在のものに指さしができる」力が関連していると言えます。
ただしこういった文脈の中での指さし段階ではその力は文脈に依存しています。
つまりその子が話題として認識していない状態で、いきなり「ママは?」「パパは?」「(絵本などを見せて)リンゴはどれ?」といった勉強っぽい質問をしても答えることが難しい段階です。
一般的表象である応答の指さし
以上のような経過を経て、一般的な質問に対する応答の指さしができるようになります。
定型発達では1歳6か月頃に相当します。
絵本や絵カードを見せて、「猫はどれ?」「犬はどれ?」といった質問に指さしで答えることができるようになっていきます。
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索