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PVT-R(絵画語い発達検査)とは?
PVT-Rは子供の語彙力を測る簡易的な言語検査です。
「PVT-R」の読み方はそのままピーブイティーアールと読みます。
PVT-Rは、旧来の語彙検査であるPVTの改定版です。
PVT-Rの意義
語彙にはどれだけ言葉を知っているか、わかっているかという理解語彙。
どれだけしゃべれるか、表現できるかという表出語彙があります。
PVT-Rは理解語彙、つまりどれだけわかっているかという語彙を検査します。
どれだけ話せるかという表出語彙は調べることはできません。
子供の言葉の理解力全般については以下を参考に。
補足記事:0歳~6歳の言葉の理解
子供の言葉の表出能力の目安は以下の記事を参考に。
補足記事:0歳~6歳の話し言葉の発達
PVT-Rの実際と解説
対象年齢
対象年齢は3歳0カ月~12歳3カ月までとなっています。
幼稚園・保育園時代から小学校まで比較的対象年齢が広い発達検査です。
所要時間
PVT-Rはお子さんの年齢やどのくらい解答できるかで問題数が変わります。
しかしながらだいたい15分程度と比較的短時間で終わる検査です。
検査の内容や実施方法
子供は4択の絵の中から検査者から言われたものはどれか指さしで選んでもらいます。
問題の内容はここではふせますが、
例えで言うと「りんご」「犬」「車」「鉛筆」の絵があって「りんごはどれ?」と聞かれる感じです。
また、聞かれる言葉はその物の名詞だけではありません。
さっきの4択の例でいくと、「書くってどれ?」「食べ物はどれ?」「タイヤはどれ?」などその物に関連する動詞や含まれる物の名前なども聞かれます。
PVT-Rは簡単な問題から難しい問題へと難易度があがっていく方式です。
検査の難易度
PVT-Rはお子さんに絵を提示しながら問題を出していきます。
問題の内容は記録用紙にも書いてあるので丸暗記する必要はありません。
PVT-Rは実施しやすい検査です。
結果の算出も計算表を見ながら丁寧に行えば比較的簡単に行えます。
お子さんの発達状況を見る専門スタッフにとって、PVT-Rはとっつきやすい検査と言えるでしょう。
検査結果からわかること
PVT-Rを行うとそのお子さんの語彙年齢と評価点がわかります。
語彙年齢はわかりやすいですね。
言葉をどれだけ知っているかという目安が年齢で出ます。
PVT-Rの場合、語彙年齢が「○○歳○○か月」と年と月単位で出ます。
評価点とは偏差値の一種ととらえていいでしょう。
例えば5歳のお子さんの語彙年齢が検査の結果4歳だったとします。
この子の語彙年齢はそんなに高くないことはなんとなくわかりますね。
しかし、例えば同じ検査を受けた100人の子供たちのうち
語彙年齢4歳が50人いる場合と
語彙年齢4歳が1人しかいない場合では
この語彙年齢4歳という数値のニュアンスは変わってくると思います。
前者は高くはないですが「まあ、ありえるよね」という感じでしょうし、
後者は「他のお子さんと比べて明らかに苦手だなあ」と気になるお子さんに。
このように、
評価点は語彙年齢だけではわからない、他のお子さんと比べた相対的な語彙力がわかります。
評価点の解説
PVT-Rの評価点は、1~19の段階で表されます。
数値が高くなるほど評価点が高いことになります。
PVT-Rの評価点は
1~5が明らかな遅れ
6~8が平均より下
9~11がごく平均
12~14が平均より上
15~19が明らかに高い
とされます。
これはPVT-Rの評価点が平均10、標準偏差3の正規分布を成すことに由来します。
「平均」と「標準偏差」について「???」の人は以下をどうぞ。
補足記事:知能指数(IQ)の理解において重要な「平均」と「標準偏差」とは?
PVT-Rのメリット
先述の通り、PVT-Rは4択の絵の中から指さしで選んでもらう方式です。
そのため発話がまったくなくても検査を行えます。
年齢基準を満たし、ある程度理解語彙があると思われるお子さんであれば発話がなくても検査できます。
また指さしや絵の選択さえできれば検査可能で、複雑な手の動きを必要としません。
そう考えると身体障害を合併している方にも比較的実施しやすい検査です。
・言葉の遅れで発話のないお子さん
・人見知りでしゃべってくれないお子さん
・脳性麻痺などにより発話や細かい作業課題ができないお子さん
などは実施できる検査が限られてなかなか詳しい評価・テストができないことがあります。
そのような方に対してもPVT-Rは比較的実施しやすい検査です。
PVT-Rの価格
PVT-Rは検査用の図版、記入用の記録用紙(30枚くらいのセット)、結果算出のためのマニュアルをあわせて2万5千円くらいです。
リンク:PVT-Rの購入ができるところ
おわりに
PVT-Rはその性質からスクリーニング検査の1つとして位置付けられることが多く、他の発達検査と併用することが多いです。
言語だけでなく子供の発達全体をスクリーニングしたいときはこちら。
補足記事:遠城寺式乳幼児分析的発達検査とは?
こだわりやコミュニケーション面に課題があるお子さん。
自閉症など発達障害に対してはこちらの検査などがあります。
補足記事:CARS(小児自閉症評定尺度)とは?