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リーディングスパン課題(RSPAN)とは?
リーディングスパン課題とは、ワーキングメモリを評価する課題の1つです。
リーディングスパンテストと言われることもありますが、意味としては同じです。
「Reading Span Test」の英語から「RSPAN」という略称で表現されることもあります。
リーディングスパン課題は任意の文章を音読してもらい、その中の特定の単語を記憶しておきます。
そしてあとからその単語を答えてもらうという手法をとります。
解説
リーディングスパン課題の内容・方法
リーディングスパン課題は難易度によって「2文条件」「3文条件」などがあります。
2文条件は文章が1度に2つ呈示されます。
リーディングスパン課題では2文条件がクリアできたら3文条件、その次に4文条件と難易度が上がっていきます。
以下にリーディングスパン課題の内容を2文条件を例に見ていきます。
被験者はカード、あるいは画面に文章が呈示されます。
2文条件であれば異なる文章が2つ呈示されます。
これらを音読してもらいます。
「それは、ゆれながら水銀のように光って上に上がりました」
「2人の子供が、青い湖のそばで遊んでいました」
太字になっているのがターゲット語になります。
(本サイトでは便宜的に太字にしていますが、実際のリーディングスパン課題では下線をつけるのが一般的です)
被験者は文を音読したあとに、このターゲット語を順番に答えてもらいます。
リーディングスパン課題の特徴
リーディングスパン課題はオペレーションスパン課題と同様に、複合スパン課題の1つとしてワーキングメモリの評価に用いられることが多いです。
ただし数字の計算を用いたオペレーションスパン課題と異なり、音読を伴うリーディングスパン課題はその内容上、母国語でないと実施が行えません。
例えば計算を用いたオペレーションスパン課題であれば、(結果が国ごとに多少違うため精査は必要なものの)外国のものをそのまま使ってもできないことはありません。
しかしワーキングメモリを見る課題であるリーディングスパン課題において、英語がわからない人に英文を読ませるのは現実的ではないでしょう。
このためリーディングスパン課題は日本語版を用いることが一般的です。
ワーキングメモリに関する課題としては他にもNバック課題などが有名です。
リーディングスパン課題はNバック課題などと比べるとトレーニングとして用いられることは少なく、評価として用いられることが多い手法です。
オペレーションスパン課題とは?
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索
『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索
『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧