量の公準とは?
言語学者のポール・グライスは、会話のルールとして「協調の原理」という考え方を挙げています。
「協調の原理」は「質の公準」「量の公準」「関連性の公準」「様式の公準」の4つの下位原則があります。
「量の公準」とは、スムーズな会話のためには状況に応じた適切な量で話す(適度な話の長さ)が大切であるとする原則です。
ちなみに「量の公準」は「量の格率」「量の公理」など名称が微妙に異なる場合もあります。
解説
「量の公準」の大切さ
会話においてどの程度の長さで話すのかという「量」の側面は大切です。
無駄に長くダラダラとした「冗長な話」は相手にとって退屈なものです。
逆に短すぎる話も考えものです。
相手の考えを聞きたいときに言葉が一言二言で終わってしまっては相手も戸惑ってしまうでしょう。
会話において話す量は長ければいい・短ければいいというものではなく、状況にあった「適切な長さ」が大切です。
「量の公準」と子供の言葉の発達
個人差はありますが、子供は3歳頃からまとまりのない話を長く行う「冗長性」が見られ始めます。
子供の言葉が増えてきている象徴的な様子を言えるでしょう。
4歳頃になるとこういった冗長性は徐々に消失し、ある程度物事を時系列に沿って話すことができていきます。
そして5歳頃には簡単な物事であれば説明できる力が徐々についていきます。
まさに量の公準における「適切な長さ」の会話の芽生えと言えます。
さらに6歳頃になると状況に応じて物事の説明を「要約」できる力がついていきます。
こちらは量の公準における「適切な短さ」の芽生えと言えます。
このように、子供の言葉の発達において「量の公準」は5~6歳頃に獲得されていくと考えられます。
「協調の原理」の解説
参考資料
『質問―応答関係検査1―検査の作成とノーマルデータ―』(日本音声言語医学会)2023年11月13日閲覧
『質問―応答関係検査2―質的分析と会話能力の段階設定―』(日本音声言語医学会)2023年11月13日閲覧