障害を持ったお子さんに対する教育・保育・医療ケア・社会的ケアなどの支援をひっくるめて療育と言います。
ここで言う障害とは身体障害だけでなく、自閉症などの発達障害も含みます。
療育には様々な専門スタッフが関わります。
そのため「こういう相談は誰にすればいいんだろう?保育士さん?お医者さん?」と戸惑うお母さんも多いかもしれません。
今回は「こういう相談はこういう職種に相談すればいい」という例を紹介します。
まず基本として療育についての相談は医師にすれば間違いありません。
なぜなら障害の有無の診断にせよ療育を開始にせよ、その過程には必ず医師が関わるからです。
障害者療育において多くの公的な書類は医師が少なからず関わります。
そのためお子さんの療育の基本方針についてはまず医師と相談することが多いでしょう。
とは言っても医師と毎日顔を合わせていろんなことを話せるかというと現実はそうでもありません。
たとえ主治医といえでも、たくさんの患者さんを持つ医師と逐一日々のことを相談することは難しいです。
お子さんの日々の微妙な変化や日常の相談は、やはり毎日顔を合わせる保育園や幼稚園の先生になるでしょう。
子供の発達が遅れている場合、知的な面の障害の有無が気になって来るものです。
子供の知的な面についての相談はまずは医師です。
そして医師が検査が必要と判断した場合は知能検査など各種発達検査が実施されます。
ここでポイントなのが知能検査を取るのは医師以外の職種が多いですが、
知的障害かどうか最終的に診断するのは医師であるという点です。
つまり知能検査をしてもらった人に「この子は知的障害ですか?」と聞いてもはっきりとした解答はしてくれません。
そういう質問は医師にすべきなのです。
反対に医師に知能検査の詳しい内容を聞いても少し相談相手がずれています。
それは検査を実際に取ってくれたスタッフに聞くのが一番です。
ちなみに知能検査をとる専門の資格というものはありません。
その施設・その地域により臨床心理士であったりリハビリスタッフであったり教諭であったりします。
他の子と比べて歩き始めが極端に遅い。あるいはまだ歩けない。
そのような場合は小児科の理学療法士に相談することになるでしょう。
手順としては医師の診察を受け、必要と判断された場合は理学療法のリハビリが処方されます。
最も、子供の歩き始めというのは個人差があります。
それが平均の範囲内の時期なのかやはり遅いのかの判断は1歳半健診などの際に相談してみてもいいかもしれません。
ボールを扱えない。自転車に乗れない。
運動の不器用さについては作業療法士に相談することになるでしょう。
理学療法士と作業療法士は分野が重なる部分もありますが、
立つ・歩くなど人間の基本的な動作は理学療法士。
自転車に乗るなど応用的な動作は作業療法士の分野です。
手先の不器用さも作業療法士の分野になってきます。
言葉が出ない。滑舌が悪い。
言葉に関する相談は言語聴覚士になるでしょう。
また、言葉は出ていてもそれが一方的であったり、他者と目が合わないといった人とのやりとりの問題も発達障害には見られることがあります。
こういったコミュニケーションの問題も言語聴覚士の領域です。
噛めない、飲み込めない。
食事に関する相談も言語聴覚士になってきます。
気をつけるのが食べる・飲むことに関しては言語聴覚士ですが、
箸・スプーンなど食器具の扱いの上手い下手は手先の器用さが関わるので作業療法士の領域です。
常識を超えて暑がる・寒がる。痛みに鈍感、なんでも怖がって触らない。
味覚が敏感でなんでも口から出してしまう。などなど。
感覚の異常は作業療法士の分野です。
小学校や中学校など進路の選択。
小学校がはじまれば学童を利用する方も多いでしょう。
進路に関しては、普段からお子さんのことをよく知る保育士・幼稚園の先生や、専門機関の社会福祉士(ソーシャルワーカー)に相談するのがよいでしょう。