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「せ」の般化・定着
前回のステップまでで、「せ」の文章レベルでの構音が可能となりました。
このステップでは「せ」の音を実際に日常生活・日常会話で構音できる習慣形成を目指します。
いわゆる般化、定着の段階と言えます。
このステップが完了することで、おおむねサ行における「せ」の音が完成するでしょう。
オーソドックスな流れであれば、「す」「さ」「そ」「せ」というサ行における4つの音が完成した状態となります。
解説
意義
構音訓練は出せるようになった音を日常生活でも構音でき、それを維持できることが重要です。
せっかく音が出せてもそれが日常生活場面に活かされていなければ実用的ではありません。
子供が日常生活場面でも正しい構音ができているか丁寧に経過を見てあげます。
練習している音が文章レベルで出てくると、指導者も保護者も安心し習慣化の段階を軽んじてしまいがちです。
そうなってしまわないよう、子供の普段の構音の様子を丁寧に情報収集していきます。
習慣化の段階は今まで以上に指導者と保護者の連携、および家庭での取り組みが必要な段階とも言えます。
方法・手順
自由会話における誤りの修正
訓練中に自由会話の時間を設け、子供が出せるようになった音を自由会話でも構音できているかチェックします。
今日の出来事や好きな事などを話してもらいましょう。
構音ができていない場合は優しく指摘し修正を促します。
ロールプレイングでの修正
自由会話に加え、あえて「せ」の音を発音する機会があるようなロールプレイングを用いるのも訓練場面では有意義です。
日常生活場面での修正
日常生活場面では、構音を指摘する時間を最初は限定します。
四六時中自分の発音を指摘されては子供も嫌になってしまうでしょう。
「食事中だけ」「保育園から帰ってきた最初の1時間」など、親が子供の発音を指摘する時間を最初は限定します。
そして上達に従い徐々にその時間を拡大していきます。
必要に応じてスマホなどで声を録音したりして自分の声を子供自身が聞く機会を設けても有意義でしょう。
日常生活でも子供の発音を指摘していく時期となります。
キャリーオーバー
上記のような構音チェックの時間帯を広げていくことを「キャリーオーバー」と言います。
キャリーオーバーは低年齢の子供ほど短い期間で終了する傾向があります。
逆に誤った構音が習慣化してしまっている年齢が高い子や成人の場合は、この期間が長く最も難しい段階となりがちです。
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参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年