誠実性と男女の不思議な傾向
性格因子における「誠実性」の平均レベルは男女で同じですが、その高低による障害は2:1で男性のほうが多いです。
つまり男性の方が誠実性が極端に低い人と極端に高い人の割合が女性より多いと考えられます。
解説
誠実性とは?
- N:神経質傾向(Neuroticism)
- E:外向性(Extraversion)
- O:開放性(Openness to Experience)
- C:誠実性(Conscientiousness)
- A:調和性(Agreeableness)
性格分析において有名なものの1つに、ビッグファイブ理論があります。
これは人の性格を5つの因子で考えるもので、その5因子は上記のようになります。
このうち誠実性は、ルールを守る秩序や忠実さ、目標達成のために長期的な取り組みを行える努力や自制心に関連します。
誠実性に限らず他の因子もそうですが、性格の5因子自体に良い・悪いはありません。
しかしながら、これらが高すぎる・低すぎる場合は問題が生じることもあります。
誠実性の高低と障害
誠実性が極めて低いことと関連する障害にはADHDや反社会的パーソナリティ障害などがあります。
他にはギャンブル依存症も該当するでしょう。
逆に、誠実性が極めて高いことに関連する障害はOCPD(強迫性パーソナリティ障害)などがあります。
これらはいずれも有病率に性差があり、男性の方が多いとされています。
冒頭で述べた通り誠実性の平均スコアは男女ともに同程度で、性差は特にないと言えます。
しかし誠実性が極端に低い・高いことに関連する障害は男性のほうが多い傾向にあります。
男性のほうが誠実性のスコアが平均レベルの人が女性と比べて少なく、両極端な傾向にあることを物語っています。
ビッグ・ファイブ理論とは?
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年