医療・福祉・療育コラム

何人中何人ができることが「普通」なのか?|子供の発達

公開日:2021年5月12日


 
 

普通の基準?

子供の発達、特に幼児期の発達において、「○○は○○歳くらいにできる」という目安を耳にすることは多いと思います。

例えば「子供が歩き出すのは1歳頃」といったものです。

しかしながら、当然これに該当する子もいればしない子もいるでしょう。

何人中何人くらいできることを、「○○は○○歳くらいにできる」とするのでしょうか?

100人中半分くらいできれば、それは「その年齢でできること」なのでしょうか?それとも100人中90人くらいできることなのでしょうか?

これは発達検査の種類にもよりますが、

60~70%の子供ができる年齢を、その項目ができる年齢と想定することが多いようです。

 
 
 

解説

発達項目の通過率

発達検査において、その課題を何人の子ができたかをしばしば「通過率」と言います。

5歳児100人中100人が課題Aをできれば、課題Aの5歳児の通過率は100%です。

さらにこの課題Aを4歳児の100人中20人が解ければ4歳児の通過率は20%になります。

こうして、課題Aは4歳児は20%、5歳児なら100%の通過率の課題ということになります。

 
 

通過率と課題設定

子供の発達を見る検査で有名なものに、遠城寺式乳幼児分析的発達検査KIDS乳幼児発達スケールというものがあります。

こういった検査では、発達課題の各項目の通過率は60~70%を目安に構成されていることが多いです。

つまり、5歳児相当の課題は、一般的な5歳児の60~70%ができる難易度に設定されているということです。

 
 

普通とは何か?

このような「○○は○○歳でできる」という目安を考えるときにふと頭をよぎるのが、「普通とは何か?」「発達の遅れとは何か?」ということではないでしょうか。

子供の発達が遅れているか否かは、単発の項目ができるかできないかだけで決まるものではなく、総体として考えていきます。

全てにおいて平均的な人間は存在しません。
多くの子供は「一般的にできること」のうち、できるものもあればできないものもあるからです。

たくさんの発達の側面を通して総合的に子供を見て、全体像を把握することが必要です。

 
 
 

参考資料

『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧

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