普通の基準?
子供の発達、特に幼児期の発達において、「○○は○○歳くらいにできる」という目安を耳にすることは多いと思います。
例えば「子供が歩き出すのは1歳頃」といったものです。
しかしながら、当然これに該当する子もいればしない子もいるでしょう。
何人中何人くらいできることを、「○○は○○歳くらいにできる」とするのでしょうか?
100人中半分くらいできれば、それは「その年齢でできること」なのでしょうか?それとも100人中90人くらいできることなのでしょうか?
これは発達検査の種類にもよりますが、
60~70%の子供ができる年齢を、その項目ができる年齢と想定することが多いようです。
解説
発達項目の通過率
発達検査において、その課題を何人の子ができたかをしばしば「通過率」と言います。
5歳児100人中100人が課題Aをできれば、課題Aの5歳児の通過率は100%です。
さらにこの課題Aを4歳児の100人中20人が解ければ4歳児の通過率は20%になります。
こうして、課題Aは4歳児は20%、5歳児なら100%の通過率の課題ということになります。
通過率と課題設定
子供の発達を見る検査で有名なものに、遠城寺式乳幼児分析的発達検査やKIDS乳幼児発達スケールというものがあります。
こういった検査では、発達課題の各項目の通過率は60~70%を目安に構成されていることが多いです。
つまり、5歳児相当の課題は、一般的な5歳児の60~70%ができる難易度に設定されているということです。
普通とは何か?
このような「○○は○○歳でできる」という目安を考えるときにふと頭をよぎるのが、「普通とは何か?」「発達の遅れとは何か?」ということではないでしょうか。
子供の発達が遅れているか否かは、単発の項目ができるかできないかだけで決まるものではなく、総体として考えていきます。
全てにおいて平均的な人間は存在しません。
多くの子供は「一般的にできること」のうち、できるものもあればできないものもあるからです。
たくさんの発達の側面を通して総合的に子供を見て、全体像を把握することが必要です。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧