場面緘黙症の診断のタイムラグ
場面緘黙(選択性緘黙)は幼児期に発症する(症状が見られ始める)ことが多いですが、実際の医療機関への受診は小中学生の頃が多いです。
この発症と診断の時期にタイムラグがあるのは場面緘黙の特徴の1つと言えるでしょう。
解説
場面緘黙の発症時期と受診時期
場面緘黙を比較的専門的に見る小児科の調査によると、受診した人のうち場面緘黙の発症時期は幼児期が82.6%となっています。
一方で、幼児期のうちに受診ができたのは37.9%。多くは小中学生になってからの受診となっています。
二次障害を防ぐ意味でも早期の相談・支援が場面緘黙には重要と思われますが、発症と診断にタイムラグがあるのが場面緘黙の支援における課題の1つと言えるでしょう。
このタイムラグの理由は様々考えられますが、その1つとして、場面緘黙児は(例えば多動・衝動性の強い子などと比べると)単に「おとなしい子」として見過ごさる傾向が考えられます。
これが小学校や中学校になり「極端にしゃべらない」「発表がまったくできない」など問題が顕在化して診察に至るのではないでしょうか。
しかしながら、当然これらの前に支援を行えることが望ましいでしょう。
場面緘黙の症状
場面緘黙の症状は、多くの保護者は保育園や幼稚園に通う「集団デビュー」の時期に気づくことが多いです。
しかしながら、場面緘黙児は集団デビュー前からすでに症状を呈している場合が少なくありません。
具体的には無表情になったり固まったり、逆に初めての場所や人に対して極度に不安を示し大声で泣いたり癇癪を起こしたりする状況です。
こういった文字通り子供達の「言葉にならないサイン」を汲み取ってサポートしてあげることが、二次障害を防ぐ上で大切と言えます。
場面緘黙の解説
参考資料
『場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育—』(日本不安症学会)2023年7月22日閲覧