選別聴覚検査の実施方法
選別聴覚検査は1kHzの30dB、4kHzの40dBで行います。
オージオメータにて行い、被験者はヘッドホンから音が聞こえた場合はボタンを押します。
解説
手順・やり方
選別聴覚検査は左右の耳でそれぞれ1kHzの30dB、4kHzの40dBの純音で行います。
このため以下のような4つのパターンの検査を行います。
(左右どちらから行うかは厳密に決まりはありません)
(雇い入れ時検査では4kHzも30dBで行う場合もあります)
- 右耳・1kHz・30dB
- 右耳・4kHz・40dB
- 左耳・1kHz・30dB
- 左耳・4kHz・40dB
それぞれ、正しく聴取できれば「所見なし」、聴取不可能であれば「所見あり」と評価します。
所見があれば二次検診を促し、その際は純音聴力検査など詳細な検査を行います。
選別聴覚検査と純音聴力検査を比較する場合は5dB程度の差は誤差と考える解釈が多いです。
結果の傾向
結果について「所見なし」を「〇」、「所見あり」を「×」と表記する場合、選別聴覚検査は16パターンの結果があると言えます。
例えば以下のような結果であれば、「〇×〇×」となります。
- 右耳・1kHz・30dB:所見なし
- 右耳・4kHz・40dB:所見あり
- 左耳・1kHz・30dB:所見なし
- 左耳・4kHz・40dB:所見あり
耳鼻咽喉科臨床学会の論文によると、有所見者の中で最も多いパターンは「〇×〇×」であり、つまり左右共に1kHzは聞こえますが4kHzは聞こえていないパターンです。
次いで4つの内いずれか1つに「所見あり」のパターン(「〇〇〇×」や「〇×〇〇」など)が比較的見られます。
男女別で見ると両耳とも男性は4kHzに、女性は1kHzに「所見あり」が多く見られました。
ただし企業で行う選別聴覚検査はそもそも母集団に男女や年齢の偏りがあるため、あくまで1つの結果と言えるでしょう。
選別聴力検査の解説
参考資料
『選別聴覚検査による聴覚管理』(耳鼻咽喉科臨床学会)2023年6月29日閲覧