「忍耐力」の非認知能力
昨今、子供にとって大切な力として「非認知能力」が注目されています。
非認知能力は文字通り認知的な能力(知能や技術)とは異なる能力を指します。
非認知能力の要素の1つに「思いやり」が挙げられます。
解説
非認知能力の専門的な解釈
非認知能力は専門的には「社会情動的スキル(Social and Emotional Skills)」と同義と言えます。
OECD(経済協力開発機構)によると、社会情動的スキルは「成功や社会機能にとって重要な個人の能力や特性、性格の一部」と考えられており、ウェルビーイングとも関係があるとされています。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的に・社会的に良い状態にあることであり、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含む概念です。
社会情動的スキルは目標の達成(忍耐力・自己制御・目標への情熱)、他者との協働(社交性・敬意・思いやり)、感情のコントロール(自尊心・楽観性・自信)の要素で構成されると考えています。
社会情動的スキルの評価
日本幼少児健康教育学会の論文に、小学生の社会情動的スキルが年齢と共にどう変化するのか研究したものがあります。
この研究では、構成概念妥当性を踏まえ社会情動的スキルを「自尊心」「社交性」「敬意」「思いやり」「忍耐力」「自己制御」「目標への情熱」という7つの因子で考えています。
そして社会情動的スキルの因子において「忍耐力」は、学年差(年齢差)が有意に見られる因子の1つです。
社会情動的スキルの評価によると忍耐力は6年生より4年生のほうが有意に高い傾向にあります。
日本の子供の忍耐力
社会情動的にスキルの観点で見ると、「忍耐力」は小学校高学年より中学年のほうが高い傾向にあるようです。
ただしこれは国によっても異なり、外国(メキシコなど)によっては年齢と共に忍耐力が高まっている文化圏も認めます。
なぜ日本の子供達は忍耐力が高学年になると下がる傾向があるのでしょうか。
その要因は複数あると考えられます。
一般的によく言われるのは、社会のデジタル化に伴い即時性の高い環境が増えたこと、年齢に伴い周囲の目を気にする子が増えることなどが挙げられます。
そして興味深いのが、日本人は外的なストレスへの対抗手段として解離心理に頼ることが多いという指摘です。
つまりストレスに対して「嫌なことは考えないようにする」「好きな事をして気を紛らす」といった対処法が結果として「耐え忍ぶ」とか「頑張ってみる」といった意欲を乏しくしている可能性があります。
個人的にはこういった解離心理はストレスから身を守るために大切なテクニックだとは思いますが、一方でほどよい強度で忍耐力を身に付ける機会も大切だと言えるでしょう。
参考資料
山田淳子、松田繁樹、辻延浩(2023)『小学生用・社会情動的スキル評価尺度の開発』(日本発育発達学会)2026年5月27日閲覧
山田淳子、松田繁樹(2025)『小学生の社会情動的スキルの性差および学年差~3年間の縦断データの分析~』(日本幼少児健康教育学会)2026年7月7日閲覧

