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社会的情動的スキルとは?
社会的情動的スキルとは、以下の3つで構成される力のことです。
- 目標を達成する力(忍耐力、意欲、自己制御、自己効力感など)
- 他者と協働する力(社会的スキル、協調性など)
- 情動を制御する力(自尊心、自信など)
「社会的情動的技能」「社会情動的スキル」「social and emotional skills」など言い方は様々ですが、いずれも同じ意味を指します。
OECD(経済協力開発機構)では、「個人の幸福(well-being)と社会の発展を牽引する技能」として、社会的情動的スキルは注目されています。
社会的情動スキルは日本では「非認知能力」と言われ、両者が同義であると考えられます。
解説
社会的情動的スキルの意義
社会的情動的スキルが注目されている背景には、主に以下の2点があります。
- 社会的情動的スキルの高さが将来の幸福に影響を与える可能性があること
- 社会的情動的スキルは幼少期に可変する可能性があること
将来の予測因子
例えば「勉強だけできても人生が幸せになるとは限らない」という価値観は、専門家でなくても多くの人が共感できるものではないでしょうか。
社会的情動的スキルは、こういった価値観を科学的に証明できる可能性を持っている点が興味深いと言えます。
社会的情動的スキルの高さは、将来の所得の向上や生活保護受給率低下などに関係するという研究結果があります。
可変する
また、社会的情動的スキルが幼児期の介入によって変化する可能性があることも重要な点です。
どれだけ将来に重要な能力であっても、それが先天的で変化しないもの、つまり「才能」であれば介入の余地はありません。
しかし社会的情動的スキルは幼少期の経験や環境、つまり外部の働きかけで向上する可能性があります。
社会的情動的スキルへの介入については、実行機能のそれと通ずるものが多く、実行機能の評価・介入が参考になってくるでしょう。
実行機能のトレーニング
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『幼児期の非認知能力と実行機能の関連における研究の現状と課題』(北海道教育大学学術リポジトリ)2022年12月25日閲覧
『質の高い遊びとは何か?』(一般社団法人 日本保育学会)2022年12月25日閲覧
『新しい学習指導要領等が目指す姿(教育課程企画特別部会 論点整理)』(文部科学省)2022年12月25日閲覧
『幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第2回)配付資料 第1回会議の主な意見等の整理』(文部科学省)2022年12月25日閲覧