ソーシャル・ストーリーとは?
ソーシャル・ストーリーとは、自閉症スペクトラム障害(ASD)や発達障害における支援方法の1つです。
その人に合わさせた、社会的状況の理解を促す文章を作り学習をしていきます。
人々がなんとなく理解している暗黙の了解をわかりやすく言葉に翻訳する手技と言えます。
こういった性質から、ソーシャル・ストーリーは言語を媒介に社会的状況の理解を促す手技です。
ソーシャル・ストーリーの意義と解説
自閉症スペクトラム障害(ASD)や発達障害における社会性・コミュニケーションへのアプローチには、主に2つの考え方があります。
1つは心の理論をはじめとした、社会性・コミュニケーションに関わる概念自体を学ぶ方法であり、
もう1つが、日常生活において実際に直面する社会性・コミュニケーションの問題を個別で解消していく方法です。
前者はマインド・リーディング指導などの手技が該当し、後者がソーシャル・ストーリーなどが該当します。
これら2つの考えはどちらがいいというわけではなく、それぞれ長所と短所がありケースバイケースの使い分けが必要になります。
このうちソーシャル・ストーリーについてはその人の実生活に即しているのでわかりやすい反面、個別事例を扱うので一般化しにくい側面があります。
ソーシャル・ストーリーの内容
ソーシャルストーリーはその人のことを否定せずに、社会的な行動を促せるような文体をとります。
例えば「人と話すときによそ見をしてはいけない」「人と話すときに視線を合わせないといけない」といった「~はダメ」「~しないといけない」といった文体ではなく、
「人と話すときに視線を合わせると、相手も自分の意図がわかりやすくて会話がはずむかもしれません」といった前向き・肯定的な表現を行います。
補足記事
参考資料
『発達障害における基礎研究と臨床への適用 自閉症スペクトラム障害と心の理論の視点から』( 一般社団法人 日本発達心理学会)2021年2月23日検索
『自閉症児の社会的理解の促進に関する研究』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2021年3月3日検索