心理学

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時間やお金に余裕を持つ方法|行動経済学・心理学

公開日:2023年3月5日


 
 

お金や時間に余裕を持つ方法

 お金や時間に余裕を持つためには、二段構えで備えを準備しておくことが有意義と考えられます。

 例えばお金であれば将来のための長期的な貯金と、(ちょっとした家電の買い替えなど)日常の不測の事態に備える中期的な貯金。

 例えば時間であればスケジュール自体を余裕を持って組み、当日はその予定の5分ないし10分前に動くなどです。

 
 
 

研究

貧困な露天商への研究

 行動経済学者のセンディム・ムッライナタン氏らは、どのようにすれば貧困の問題を解消できるか研究を行いました。

 氏らは貧しい露天商の人々を対象に、借金を肩代わりしてその後の経過を追いました。

 仮に貧しさが1つの借金を理由にしているのであれば、1回の借金の肩代わりで問題は解消するはずです。

 逆に貧困の理由がもっと習慣的な、継続的な原因であれば1回の借金の肩代わりでは問題は解決しないはずです。

 結果、露天商の人々は段階的に元の借金のある生活に戻ってしまいました。

 
 

研究からの示唆

 この研究で興味深いのは、露天商の人々はある時期に一斉に借金のある生活に戻ったのではなく、一人また一人と段階的に元の生活に戻ってしまった点です。

 これはなぜかというと、

 貧しい人々は日々の生活費で少しずつ貧しくなるのではなく、カツカツの生活の中で突発的なこと(例えば病気をしたり冠婚葬祭で不意な出費があったり)に対応できないために貧困のループに陥るのです。

 借金を肩代わりしてもらった露天商の人達は、はじめはそれでつつましく日常を送っていました。

 しかし突発的なことが各々に起こる中、一人また一人と借金をする生活に戻ってしまったのです。

 
 
 

解説

 人が余裕持つためには、突発的な出来事に備えるクッションが必要です。

 しかしそのクッションだけでは長期的なことや大きな出来事には対応できません。

 例えばある日、冷蔵庫が壊れたとします。
 多くの人は冷蔵庫をぱっと買えるほど財布の中にお金があるわけではないでしょう。

 しかし冷蔵庫といった日常の物を買うたびに、子供の将来のために貯めておいた貯金を切りくずつことは建設的ではないでしょう。

 突発的な出来事に備えるために、長期的な貯金とは別に中期的なお金を準備しておく。

 こういった二段構えの備えが、お金や時間に余裕を持つためのテクニックとして有意義でしょう。

 
 
 

参考資料

センディル・ ムッライナタン、エルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房、2015年 p182

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