育児・教育コラム

相互排他性とは?|子供の言葉の発達と認知的制約

公開日:2023年11月1日


 
 

相互排他性(そうごはいたせい)とは?

 「相互排他性」とは、1つの対象には同じカテゴリーの名称しかつかないという原理です。

 例えばチワワは「犬」でもあり「チワワ」でもありますが、これが成立するのは「犬」と「チワワ」が同じカテゴリーだからです。
 チワワを「犬」と呼びつつ「猫」と呼ぶことはできないでしょう。

 相互排他性は、子供が言葉を覚えていく際に必要な、生得的に有する認知的制約の1つと考えられています。

 
 
 

解説

相互排他性の意味

 相互的排他性は、人が言葉を学ぶ上での概念形成や分類の理解に役立っています。

 「相互的」とは互いに関係があるということです。 
 「排他的」とは他方を受け入れない関係を意味します。

 つまり「相互的」で「排他的」というのは言葉の意味として、「互いに相容れない関係性」であると言えるでしょう。

 言葉の発達における「相互的排他性」は、まさに言葉同士の「互いに相容れない関係性」を生得的に理解することに役立ちます。

 「犬」と「猫」はある意味で「互いに相容れない関係性」の言葉と言えます。
 なぜなら犬は猫ではありませんし、猫は犬ではありません。
 犬に含まれる猫もいませんし、猫に含まれる犬もいません。

 このように、私達は相互的排他性の概念により(それが同じカテゴリーに属する言葉でなければ)互いに相容れない関係性であることがわかります。

 相互的排他性は、人の生得的な認知的制約の1つです。

 
 

相互排他性の例

 例えば私達が「ケーキ」という言葉を学んだとします。

 目の前にある食べ物が「ケーキ」という名称であるということを学んだとき、私達は同時にそれが「『コーヒー』ではない」こともわかります。

 一般的に、「ケーキ」と「コーヒー」は違うカテゴリーです。(コーヒー味のケーキといった細かい話は一旦置いておきます)

 「ケーキ」と「レアチーズケーキ」は同じカテゴリーの関係性ですが、コーヒーは違います。「コーヒー」は「カフェラテ」などと同じカテゴリーと言えるでしょう。

 だからこそ、私達は「これは『ケーキ』であるが、『コーヒー』でもあるかもしれない」とは一般的には思いません。
 なぜなら「ケーキ」と「コーヒー」は異なるカテゴリーだからです。

 一方で、私達は例えばレストランに行って店員から「今日のデザートはシェフのおすすめケーキです」と言われれば、「イチゴのショートケーキ」や「レアチーズケーキ」など様々なケーキを想像します。これらは同じカテゴリーだからです。しかし「コーヒー」は想像しないでしょう。

 このように、相互的排他性は言葉の理解や推測を手助けしてくれています。

 
 
 

言語発達における認知的制約の種類

 
 
 

参考資料

『日本の子どもの初期の語彙発達』(日本言語学会)2023年9月30日閲覧

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