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特異度と陰性的中率の違い
特異度とは、疾患のない人達を対象に、実際に検査が陰性と反応する確率です。
陰性的中率とは、疾患のある人ない人の両方を含む集団の中で、実際に陰性を正しく判定できる確率です。
特異度と異なり、陰性的中率はその病気の珍しさ、つまり有病率によって変化します。
解説
感度とは?
「特異度」=「検査の陰性数」÷「疾患のない人の数」
感度は上記のような式で求められます。
例えば疾患のない人100人を対象に検査を行い、90人を陰性と判断したとします。
この場合、特異度は90%となります。
ちなみに100人中10人をこの検査は取りこぼしてしまっているので、10人の「偽陽性」を出していると言えます。
陰性的中率(NPV)とは?
「陰性的中率」=「真陰性」÷(「真陰性」+「偽陰性」)
陰性的中率は上記のような式で求められます。
「真陰性」とは疾患がなくて検査も陰性となった、つまり正しく陰性となった人です。
「偽陰性」とは疾患があるのに陰性となってしまった、検査が間違ってしまった人です。
例えば100人の中にその病気を持っている人が40人いたとします。
この100人に検査を行い、病気のない人60人を陰性と正しく判断できてば陰性的中率100%となります。
仮にこの検査が、60ではなく70人も陰性判定をしてしまったとします。
この場合、10人の間違った陰性(偽陰性)を出していることになります。
これを式に当てはめると、
60÷(60+10)=約0.85
となり陽性的中率は約85%となります。
有病率で変わる陰性的中率
陰性的中率は有病率によって変わります。
このため特異度がいいからといって陰性的中率がいいとは限りません。
良い検査を作るためには特異度が高いことは大切ですが、特異度が高いからといって陰性的中率が高いとは限らないということです。
例えば100人の中にその病気を持っている人が90人いたとします。
つまり病気のない人が10人しかいない状況です。
検査により、10ではなく20人も陰性判定をしてしまったとします。
この場合、10人の間違った陽性(偽陰性)を出していることになります。
これを式に当てはめると、
10÷(10+10)=0.5
となり陰性的中率は50%となります。
このように、100人という集団の人数は同じで、偽陰性を出してしまった数も同じでも、疾患の有病率によって陰性的中率は変わってしまいます。
感度・特異度・陽性的中率(PPV)・陰性的中率(NPV)
参考資料
『臨床検査の偽陽性と偽陰性について』(日本臨床検査医学会)2022年7月23日閲覧
『陽性的中率や陰性的中率とはどんな計算?有病率や感度特異度との違いをわかりやすく』(いちばんやさしい、医療統計)2022年7月23日閲覧
『感度と特異度の計算方法をわかりやすく!分割表からの求め方を解説!』(いちばんやさしい、医療統計)2022年7月23日閲覧