以前の記事で、ソーシャルスキルやコミュニケーションスキルには「気づく」力が重要であることは書きました。
ではその「気づく力」を高める、あるいは補うためにはどうすればいいのでしょう?
補足記事:「本人は気づいていない」ことが最大の問題
【認知の取捨選択】
人には認知することと認知しないことがあります。
荷物の重さは感じますが、地球の重力は感じません。
全ての重さを感じていては疲れてしまいます。
しかしまったく重さを感じないのでは生活できません。
人は認知を取捨選択することで生きやすくしています。
同様に、
世の中には気にすべきところと気にしなくていいところがあります。
そしてこれは不変ではありません。
状況によって変わります。
何を気にすべきで何を気にしなくていいのかというのは状況によって変わるのです。
【コミュニケーションが上達するために】
コミュニケーションが苦手な人は「何を気にすべきで何を気にしなくていいのか」という感覚がズレています。
この感覚のズレが問題なのです。
コミュニケーションを改善するには、
・ズレないように具体例を学ぶ
・そもそもズレないような感覚を学ぶ
必要があります。
【「気づける」ようになるのか?】
では人はそもそもこの「気づく」感覚を修正することができるのでしょうか。
これは結局は人によります。
発達障害によりこの感覚のズレが著しい方は完全な改善は難しいかもしれません。
人によって効果に差があります。
しかし、少なくとも言えることは、
トレーニングをした自分のほうが、トレーニングをしていない自分よりコミュニケーションはうまいということです。
【具体例から概念へ】
なんでもそうですが、学ぶは真似るです。
まずは具体例から入るのが一番です。
「こういうときにはこう」という具体例を学びます。
もちろん具体例だけでは応用はききません。
先ほど書いた通り、何を気にすべきで何を気にしなくていいのかというのは状況によって変わるのですから。
しかし、具体例を数多く重ねていくことで、身に付く感覚があります。
まずは
「世間一般はこう」
「人は普通こう感じる」
「こういうときはこう振る舞う」
「これは気持ち悪い」
「これは感じが悪い」
「こういうふうにしたら好感が持たれる」
などとにかくたくさんの具体例を自分の中に入れるのです。
その具体例は人に聞いてもいいしネットで調べてもいいです。
ただし付き合いが浅い人はお世辞を言うのでズバズバ言ってくれる人に聞きましょう。
ネットも嘘や極論があるので信頼できる情報源を使いましょう。
補足記事:社交辞令とは?
具体例をとにかく自分の中に入れて、そのあと
「だったらこういうときはこう」という過程を想像していきます。
この「たくさんの具体例」→「だったらこう」というのを何度もたくさん繰り返すのです。ひたすら繰り返すのです。少しではだめです。たくさんです。
ほとんどの人はこの量を途中であきらめてしまうのです。
「私はコミュニケーションが苦手だ」
「人の心なんてわからない」
そう思ってやめてしまうのです。
確かに「コミュニケーションが完璧」な人は少ないですし、「人の心は複雑」です。
しかし学べば少なくとも「前の自分」よりは上達するのです。
完璧でなくていいのです。まずはやってみるのです。
そしてそれを続けるのです。
あなたが本当にコミュニケーションを上手くなりたいと思うなら。
スポーツでもそうですが、頭で覚えても体が自然と動くにはたくさんの練習量が必要です。
コミュニケーションもそうです。
コミュニケーションに必要な感覚を身につけるためにはたくさんの練習が必要です。
もちろんその感覚の身に付くスピードには個人差があります。
しかし感覚を身につけようと思ったら練習と学習しかないのです。
【時折、世の中と照らし合わせる】
コミュニケーションを学び、感覚が形成されてきたら、今度はそれを疑いましょう。
先ほど書いた通り、何を気にすべきで何を気にしなくていいのかというのは状況によって変わります。
だからこそ、自分のソーシャルスキルを疑う機会を持つのです。
「Aさんに対してはこうだけどBさんにはどうか」
「前の職場ではこうだったけど新しい職場ではどうか」
「年上にはこうだけど年下にはどうか」
このように、常に自分の尺度を更新していきます。