会話の維持のSST
ソーシャルスキルトレーニングにおける標的スキルの例として、「会話の維持の仕方」があります。
自然な形で会話を続けることは、相互的なコミュニケーションにおいて重要です。
このページでは、「会話の維持の仕方」のソーシャルスキルトレーニングを見ていきます。
解説
SSTの実践研究
日本認知・行動療法学会の論文に、自閉症スペクトラム障害児へソーシャルスキルトレーニングを行った研究があります。
この研究では小学生の自閉症スペクトラム障害児に複数のソーシャルスキルについてトレーニングを行っています。
このソーシャルスキルトレーニングの1つが、「会話の維持の仕方」のセッションです。
これを踏まえ、ソーシャルスキルトレーニングの例を考えていきます。
SSTの内容
- 良くない会話の例(物語)を提示する。(対象児の理解が難しい場合は、例題を抽象的なものから具体的なものに変えていく)
- 途切れる会話、あるいは維持の仕方が不自然な会話が行われた場合、相手はどんな気持ちになるかを一緒に考える。(回答が難しい場合は適宜2択などで気持ちを確認していく)
- 会話を続ける場合どのような方法が良いのか・気をつけることは何かを一緒に考える。
上記のように一緒に考えていきます。
適宜ワークシートなどを用いて書き込んでいくとわかりやすいでしょう。
これらを踏まえ「言語的教示」「モデリング」「行動リハーサル」「フィードバック」「般化」の手順でトレーニングしていきます。
保護者が同室であれば、指導者と保護者にてモデルと提示すると有意義でしょう。
ソーシャルスキルを今後般化してくことを考えると、家庭や日常での導入は重要です。
このためには保護者の理解は必要不可欠と言えます。
ソーシャルスキルトレーニングは、可能であれば保護者も参加してもらい情報を共有できると有意義です。
参考資料
半田健(2019)『日本における自閉スペクトラム症児を対象としたソーシャルスキルトレーニングに関する研究動向』(一般社団法人 日本LD学会)2025年8月26日閲覧
岡島純子、谷晋二、鈴木伸一(2014)『通常学級に在籍する自閉性スペクトラム障害児に対する社会的スキル訓練 : 般化効果・維持効果に焦点を当てて』(一般社団法人 日本認知・行動療法学会)2025年8月26日閲覧
『ソーシャルスキルトレーニング絵カード』(エスコアール)2025年7月26日閲覧