SST(ソーシャルスキルトレーニング)は発達障害の方のだけでなく、グレーゾーンの方やコミュニケーションが苦手な方にとっても有効です。
グレーゾーンの方とは、発達障害の程度が微妙で診断に至らないような方のことです。
【コミュニケーションには輪がある】
複数名が共通の話題を持って場を共有するとき、そこには輪が生じます。
輪は固定されるのではなく場の雰囲気に合わせて変化していきます。
人が出入りし輪を構成する人は変化します。
コミュニケーションを円滑に行うためには輪に入り溶け込むことが大切です。
【輪に入り溶け込むことができるのは社交性の高さ】
自分から輪を作れたり、すでにできている輪に途中からでもすっと入れる人が世の中にはいます。
そのような人はだいたいがコミュニケーション能力が高く、社交的です。
一方で、ソーシャルスキルやコミュニケーションスキルとトレーニングしている人は輪に入ることが苦手です。
あるいは、本人は苦手意識がなくても周りから見たら輪に入ることが下手です。
【「常に輪に入ろう」としない】
上手に輪に入ることは大切ですが、
それはコミュニケーションスキルとしてはレベルが1段階高いです。
まずは輪に入る入らないの判断ができないといけません。
つまり「入っていい輪」と「入ってはいけない輪」の区別ができないといけないのです。
この判断ができてはじめて「上手に輪に入る」ことを学べるのです。
コミュニケーションが下手な人は、「コミュニケーションが上手くなろう=外向的になろう」という誤解のもと入ってはいけない輪にずかずかと入って場の雰囲気を乱してしまうのです。
【入ってはいけない輪とは?】
では「入ってはいけない輪」とはどのような輪でしょうか?
それは、
・その人が入ってしまうと話題の流れが変わってしまう。
・そしてその変化を輪の中の人が好まない
この2つを満たす場合、かなり高い確率でその輪は「入ってはいけない輪」です。
【話題の流れが変わってしまうとき】
話題の流れが変わってしまうのは、輪に入ってきた人がその話題を知らないか、周りがその人に聞かれたくないかのどちらかです。
例えば共通の趣味で盛り上がっているのにその趣味の知識のないあなたが入ったら「知っている前提」の話ができなくなるのです。
また、その人に聞かれたくない話題の場合も流れを変えざるをえません。
例えば20代前半の女性二人が「早く結婚したい」という話題で盛り上がっているときに30代後半の独身女性が輪に入ると気まずくて話題をかえないといけなくなります。
【話題の変化を輪の中の人が好まないとき】
しかし話題の変化がいつもいけないことなのかというとそうではありません。
その話題についてもっと話したいという状況もある一方で、そろそろ別の話題にしたいと思っているときもあるものです。
人には話題を変えたいときと変えたくないときがあるのです。
そして相手が話題を変えたくないときに話題を変えてはいけません。
【入ってはいけない輪に直面したら?】
もっとその話題について話したいのにあなたが輪に入ることで別の話をしないといけなくなる。
そのような状況は「入ってはいけない輪」です。
入ってはいけない輪に直面したら、その場から離れるのがベストです。
その場にいるのに会話に入っていなかったら不自然です。
トイレに行くでも別の用事を済ませるでもなんでもいいのでできるだけ自然な形で退室しましょう。
「別にトイレに行きたいわけでもないし、別のところに用事があるわけでもない」とか思わないで用事を作ってその場から離れるのです。