小児から成人にかけての吃音の変化
子供から大人になる中で、吃音の症状はどのように変化していくのでしょうか。
吃音の症状自体は軽減されなくても、小児から成人になる中で「吃音が軽くなった」と感じる人は少なくないようです。
解説
自覚的な吃音症状
吃音はブロックなど客観的な症状だけでなく、本人が吃音を「どのくらい重く感じるか」という自覚的な症状も重要な観点です。
吃音の自覚的症状は、年齢を重ねる中でどのように変化するのでしょうか?
吃音を持つ成人に自覚的症状を振り返ってもらった研究によると
平均的には学生の頃より大人になると吃音が軽くなったと感じる例が少なくないようです。
具体的には吃音の自覚症状は中学生の頃にピーク、つまり最も重く感じ、大人になると学生のどの頃よりも吃音の自覚症状は軽減されています。
他覚的な吃音症状
では実際に吃音は大人になると症状は軽くなるのでしょうか?
吃音の客観的な症状自体は、本人が思うより軽減はされていないことが多いです。
具体的には大人になっても吃音の症状は横ばいであったり、むしろブロックは増える傾向にあります。
ブロック(Bl)とは「阻止」や「難発」とも言われる、吃音の典型的な症状の1つです。
吃音はその進行状況により症状が異なります。
一般に引き伸ばしと言われる初期症状は大人になるにつれて減り、身体的負担を伴うブロックは増える傾向にあります。
なぜ自覚的症状は軽くなるのか
ではなぜ他覚的症状は軽くなっていないにも関わらず、自覚的症状は軽くなるのでしょうか。
自覚的症状が軽くなる背景には、本人の受容と周囲の理解が大きいと考えらえれます。
また、大人になって吃音の自覚的症状が軽くなるのはよくあることでもあるので、
「吃音が治った」体験談を挙げる広告や教材には注意する(騙されない)ことが、医学博士である菊池氏の見解からわかります。
補足記事
参考資料
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索